琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

あなたのニュースサイトが流行らない理由

どらみそら。 - コメント付きニュースサイトが陥りやすいタブーとミス
↑を読んで思ったことなど。
僕はどちらかというと紹介していただく側なのですが、アクセス解析からリンクしてくれたニュースサイトを見てみたりすると、いろいろと考えることもあるのです。ニュースサイトの皆様には釈迦に説法というか失礼極まりない話かもしれませんが、ひらに御容赦を。

僕からみた「人気のあるニュースサイトの条件」というのは、「人気のある書店の条件」に近いイメージがあるのです。そこで、「人気のある、魅力的な書店」の条件を考えてみると、大まかに言って、次のようなものがあげられます。

(1)蔵書が豊富
(2)探している本を見つけやすい
(3)そこでしか手に入らない(入りにくい)本がある
(4)新しい本がコンスタントに入荷されている
(5)接客がしっかりしていて、それでいてベタベタしているわけでもない。
(6)交通の便が良い

まあ、こんなところでしょうか。ニュースサイトの「ニュース」=書店の「本」と考えれば、これはほぼニュースサイト繁盛の条件にもあてはまるような気がします。ただし、(6)に関してはネット上にあるかぎり、ほぼ条件はどこも同じであると考えていいでしょう。もっとも、既成の大きなニュースサイトは、すでにお互いを顧客が行き来しやすいようなリンク網を作り上げているので、かなり有利ではあるんですけどね(いや、実はここでけっこう勝負はついている、という気もしなくはないのですが)。
しかし、そう言っていてもはじまらないので話を進めます。多くのニュースサイトの卵たちがどうして人気サイトになれないのかというのは、やはり、この(1)〜(5)に問題があるのではないかと思うんですよ。
(1)に関しては、正直「努力次第」としか言いようがありません。しかしながら、「紹介しているネタが多ければ多いほどいい」というような錯覚に人はみな陥りがちなのですが、実際は必ずしもそうではないのです。実は、「蔵書の多さ」というのは、(2)の「探しやすさ」とリンクしてはじめて意味があるんですよね。例えば、『ジュンク堂』の店内の書籍が全く無秩序に並べられていたとしたら、あなたはそこで本を買おうと思いますか?それはもう、壮大なカオスであるとしか言いようがありません。「情報」というのは、整理され、検索できる状態でないと、あまり実用的ではないのです。「紹介するニュースは多いほうが良いニュースサイトに見えるだろう」と管理人さんは思うのかもしれませんが、ごく一部の好事家を除けば、閲覧者側にとって、整理されていないニュースの羅列は、目が痛くなり、何を読んでいいのかわからなくなるだけで、ものすごくマイナスの印象しか受けません。ただ100個のネタを羅列するだけのサイトよりは、20個のネタをキチンと分類してあるサイトのほうが一般的には好感度が高いはずです。人気ニュースサイトのほとんどは、きちんと「ジャンル分け」をしてあり、同じカテゴリーのなかでも目玉ネタを前のほうに持ってきています。実は「ネタ」そのものよりも「ネタの整理・分類のしかた」で差がついているんですよね。
(3)も大事なことです。いわゆる「大規模書店」であれば、それこそ「何でもそろう」ことを売りにすればいいのでしょうが、実際はそれほどのメガサイトを作り上げるのは非常に困難であり、多くの犠牲を要します。となると、小規模・中規模書店の生き残る道というのは、「このジャンルだけは他のところには負けない!」という「得意ジャンル」をつくることだと思います。あと、もうひとつの戦略としては、「多く本を並べるほどお客は喜ぶ」という先入観を捨てることでしょう。僕もそうなのですが、多くの人は大手ニュースサイトで紹介されている記事を全部読んでいるわけではありません。そう、全部読んでいるのって「下請けニュースサイト」の管理人くらいなのではないでしょうか。そして彼ら下請けニュースサイト管理人は、大手ニュースサイトで面白かった記事、人気になりそうな記事を自分のニュースサイトに並べるのです。でも、ちょっと待っていただきたい。その記事は確かに「面白い」のかもしれないけれど、『ジュンク堂』で平積みにされているベストセラーを、誰があなたの店にわざわざ買いに来るのですか?サイトの場合は、本みたいに「売り切れ」になることはないのだから、「すでに人気になっている記事」「大手が一押しにしている記事」を紹介するのは、あまり賢明な戦略ではなさそうです。ムダにニュースの数を増やす時間があるのなら、1日1つのネタでもいいから、他のニュースサイトに頼らず、自分の眼で選んできたネタを入れるトレーニングをするべきです。やり方によっては、「小規模であること」を生かす戦略もあるのですから。すでにそういう先例はいくつもあるのですが、「1日に紹介するネタを自分が本当に面白いと思ったネタ1つに限定する」というのはどうでしょうか?読む側からすると、大手ニュースサイトで紹介されているネタのというのは、基本的に「全部読むには多すぎる」ので、そのなかで興味のあるものだけが読まれるパターンがほとんどです。しかしながら、その「どれを読むべきかを選ぶ作業」というのは、けっこうめんどくさかったりもするんですよね。「蔵書は少ないけれども、置いてある本はみんな素晴らしく面白い本ばかり」という書店があれば、あなたはそこで本を買ってみたいと思いませんか? でもねえ、ほんと、あまり観客の気配がしないニュースサイトほど、読んでいる人の顔が見えないというか、そもそも内容読まないで紹介してるんじゃないの?とか思うことが多いです。そういうのは、紹介していただいている立場とはいえ、ちょっと悲しくなります。
(4)はとりあえず、休眠状態にならないように更新したほうがいいですよ、という話です。これも、「よそよりも早く手に入る」という状況を作れれば、大きなメリットにはなりそうですが、正直それはかなりの難業なのでオススメはしがたいです。
(5)は至極当然のことなのですが、必要以上にニュースサイト同士で馴れ合っているのを見ると、コンビニの店員さんたちが客がいるのに大声で雑談しているようなもので、あんまりいい気分がするものではないです。あれも「営業活動」ではあるのでしょうけど。

しかし、こうして考えると、「良質のニュースサイトを作る」っていうのは、ほんと、かなり大変なことですね。「面白いネタを拾って並べておけばいいんだからラク」なんてことは全然なさそうです。

文藝・2007春号

文藝 2007年 春号 [雑誌]

文藝 2007年 春号 [雑誌]

 僕はしょっちゅう文芸誌を読んでいるわけではないのですが(というか、『文藝春秋』の芥川賞受賞作全文(&選評)掲載号を買うくらいなのですけど)、『文藝』のいま売られている号は、恩田陸さんの大特集(ほんとにすごいボリュームです)と、高橋源一郎さんと綿矢りささんの対談記事というキラーコンテンツ満載だったので、思わず購入してしまいました。1000円する本なのですけど、『文藝春秋』みたいな「セレブ向け広告雑誌」っていう感じでもないし、思ったよりはるかに読みやすい&興味深い記事が多いです。
 恩田陸さんへのQ&Aコーナーでは、こんなやりとりが(津原泰水さんからの質問)。

(5)ハンデ戦です。小説を構成する以下の要素のうち、いずれかを抜きにして次作を書くよう命じられました。主題と主張。物語性。人物造形。どれを捨てますか?


恩田:もちろん、主題と主張です。

 この質問に対して「もちろん」と答えてしまうところが恩田さんらしいなあ、と。

 そうそう、前からいつ出るのか気になっていたのですけど、綿矢さんの『夢を与える』は、2月8日発売だそうですよ。

夢を与える

夢を与える

ビンス・マクマホンvsドナルド・トランプ

http://beye2.com/item_8579.html#co

 ドナルド・トランプさんといえば大金持ちとして有名なのですけど、まさかこんなにオトナゲない人だったとは……しかももう還暦過ぎてるっていうのにこの暴れっぷり! 総資産3000億円も持っているのにここまでネタっぽく生きなくても……
 まあ、アメリカっていうのは、良くも悪くも「奥が深い」国だということですかねえ。

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