琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

梅田望夫さんが羨ましい。

水村美苗「日本語が亡びるとき」は、すべての日本人がいま読むべき本だと思う。 - My Life Between Silicon Valley and Japan
↑の梅田さんのエントリに、このようなさまざまなブックマークコメントが付いた。
それに対して、梅田さん(らしき人)が、Twitterでこんな見解を書いたのが大きな反響を呼んでしまったのだが(この梅田さんの見解に対するブックマークコメント)、僕は正直梅田さんが羨ましい。
もちろん、こんなふうに多くの人から叩かれるのは勘弁してほしいのだけれども、ずっとブログに本の感想を書き続けている人間としては、梅田さんが羨ましくてしょうがないのです。
ここを見ていただければわかるように、こんなにたくさんの人が、梅田さんの書いたエントリによって、『日本語が亡びるとき』という本に興味を持ってくれているのだから。

基本的に「本の感想あるいは書評(僕は自分が書いているものは「書評」と呼ぶに値しないと思うので、ずっと「感想」だと言っています)」というのは、あまり「読んでもらえない」エントリであることが多い。書くのにかかる時間(+読むのにかかる時間)に比べると、非常にコストパフォーマンスが悪いのですよ。
もちろん、いいかげんに書いているように思われがちな「雑記」シリーズにも「一生モノの経験」を詰めている場合もあるので、「読んでそのまま出す」という本の感想は、僕にとっては「書きやすい」エントリではあるのだけれども。
本の感想を書くときに僕が考えているのは、ひとつは「自分はこんな本を読んできたのだ」という「生存証明」として記録すること、そしてもうひとつは、面白い、あるいは素晴らしい本を読んだときに「この本をもっと多くの人に手にとってほしい!」「この本の作者がまた次の作品を書けるように売れてほしい!」ということなのです(あと、「引用多くてすみません」といつも心の中で謝ってる)。

だから、お気に入りの本が誰かの目にとまったり、読んでもらったりするとすごくうれしいし、「ここで紹介されているのを見て読みました」と言ってもらえると(まあ、零細ブログなので、そういう栄誉にあずかる機会はほとんどないんですけど)、書いてよかったなあ、と思います。
琥珀色の戯言』は、amazonアフィリエイトに入っていますが、僕は「本が売れる」ことよりも、「エントリからamazonの本の紹介ページにとんでくれる人」の数が多いほうがうれしいです。
それは、「エントリがきっかけになって、その本に興味を持ってくれた」ということなのだろうと感じるので。
お金の話をするとなんなんですが、うちの場合、1年間のアフィリエイト総額で『鹿男あをによし』のDVDボックスが買えるくらいのもの。
(いや、やっぱり売れると嬉しいんですけどね。それが「いちばんの目的」じゃないっていうだけのことで)

件の梅田さんの『日本語が亡びるとき』の紹介に関しては、梅田さんの「熱い想い」はすごく伝わってくるんだけど、正直、「書評」としては荒いというか、不親切なのではないかと。
このエントリを僕なりに要約すると、

梅田望夫だ。俺は水村美苗が好きだ。『日本語が亡びるとき』は、この俺が強く薦めるすばらしい本だ。お前ら買え、読め!

って感じなんですよね(書きながら、昔『ジャンプ放送局』に載っていた「西村繁男だ、載せろ!」ってネタを思い出してしまいました)。

内容について書きだせば、それこそ、どれだけでも言葉が出てくるのだが、あえて今日はそれはぐっとこらえておくことにする。多くの人がこの本を読み、ネット上に意見・感想があふれるようになったら、再び僕自身の考えを書いてみたいと思う。

いやまあ、ミステリだったらそれもしょうがないと思います。トリックをネタバレして、「どう、これ面白いでしょ?」って言われたら怒るよねみんな。
でも、この本の性格上、本当に「読んでほしい」というのであれば、もうちょっと読者に歩み寄ってもいいというか、もうちょっと丁寧に内容を紹介する、自分のネームバリューに頼りすぎない書評であるべきなのではないかと。「日本語の危機」というメインテーマだけ聞かされて、すぐ1800円を払える人は、そんなに多くないと思われるので。
いわゆる「アルファブロガー」の「書評」って、こういう「この俺が薦めるんだからお前ら読め」みたいなのがけっこうあるのは事実なんですけど。
いや、僕は梅田さんのエントリの後半の「一言だけいえば、これから私たちは「英語の世紀」を生きる」以下の部分だけでも僕はこの本に興味を持てたし、昨日実際に買ってきて読み始めているのですけど、アルファブロガーって、こんな「書評」で、こんなに本を宣伝できるのか……と、ちょっと悲しくなってしまいました。
みんな、結局のところ「誰が薦めているのか」しか興味ないのかもしれないな、って。

梅田さんは、Twitter

本を紹介しているだけのエントリーに対して、どうして対象となっている本を読まずに、批判コメントや自分の意見を書く気が起きるのだろう。

と書かれていて、それはまさに「正論」だと僕も考えます。
でもまあ、その一方で、「こんな『お前ら俺のお薦めの本だから黙って買え!」みたいな「本を紹介しているだけ」のエントリに、あんなにブックマークがついたり、購入を検討する人がいるというのは、驚くべきことだし、梅田さんはそのことに関して、もうちょっとポジティブに考えたほうがいいんじゃないかなあ。
「こんなにネガコメ書くヤツがいる」ということより「こんなに興味持ってくれた人がいる」ことに目を向けたほうが建設的です。
「本の紹介」のエントリなんて、「誰も見てくれない、ましてやブックマークされることもない」のが「普通のブログ」にとってはデフォルトなのだから。

梅田さんのおかげで「このエントリを読まなければこの本を目に留めなかった人(僕もそうです)」が大勢この本に興味を持ったことは間違いありません。
そして、「本を読まずに批判コメントや自分の意見を書く人」っていうのは、このエントリを読もうが読むまいが、「どうせ『日本語が亡びるとき』には縁がなかった人たちなのですから、いちいち気にしてもしょうがないですよ。
梅田さんがとりあげたことで、少なくとも「収支」は大幅にプラスになっているはずだし、まあいいじゃないですか。

ほんと、こんなふうに「自分が紹介した本が世界に認知されるのに貢献できる」って、本当に羨ましいよなあ。もちろん、プレッシャーもあるんだろうけど……

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