琥珀色の戯言

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ダブル・ジョーカー ☆☆☆


ダブル・ジョーカー

ダブル・ジョーカー

内容(「BOOK」データベースより)
結城中佐率いる“D機関”の暗躍の陰で、もう一つの秘密諜報組織“風機関”が設立された。だが、同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ。D機関の追い落としを謀る風機関に対して、結城中佐が放った驚愕の一手とは―。表題作「ダブル・ジョーカー」ほか、“魔術師”のコードネームで伝説となったスパイ時代の結城を描く「柩」など、5編を収録。吉川英治文学新人賞&日本推理作家協会賞W受賞の超話題作『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第2弾、早くも登場。

あの『ジョーカー・ゲーム』の続編ということでかなり期待して購入。
結論からいえば、「うん、面白い小説だとは思うんだけど、なんか、前作が『プロローグ』だと思いきや、今回もずっとプロローグなのか……?」という感じです。
ジョーカー・ゲーム』は、「D機関」という組織はどんなものであるか、ということが語られているのですが、その『D機関』が、太平洋戦争という激動の時代に「具体的にどんなことをやったのか」は、「乞うご期待!」というところで終わっていました。
この『ダブル・ジョーカー』に僕が期待していたのは、「結城中佐率いる『D機関』の実際の活動が描写されること」だったのです。
ところが、ここに収録されている5篇の短編は、『柩』を除いて、「外側からみた、D機関の断片」しか描かれていません。
個々の作品はつまらなくはないんだけど、これだけ、「ほーら、『D機関』、そして結城中佐は凄いだろ、こんな規格外の連中がいるんだぞ〜」との煽りがあまりに続くと、結局、D機関がやっていることはほとんど書いてないじゃん、活躍の場は、同じ日本軍の士官学校組をコケにすることだけなのか?とか感じてしまうんですよ。
D機関の活動のプロセスが描かれていないだけに、どんなに「凄いんですよ!」と言われても、いつも最後には勝っていることになっているという「後出しジャンケン」っぽいし。
ジョーカー・ゲーム』に関しては、「自己紹介」のレベルで十分面白かったけれど、第2弾となれば、少しはダイナミックなストーリーの進展みたいなものが欲しいじゃないですか。
いくらデキが良くても、『ロード・オブ・ザ・リング』の「旅の仲間」的なプロローグを2作連続で見せられたら「そろそろ話を進めろよ」って思うよなあ。

 求められているのは、結局のところただ一つであった。
 言葉にすれば、それは「何物にもとらわれず、自分自身の目で世界を見ること」であり、言い換えれば「自分自身の肉体のみを通じて世界を理解すること」だった。
 ――世界は本当はどう見えるのか?
 そこでは、人の死は善悪の基準で判断されるものではなかった。自殺や殺人は周囲の人々にとっての最大の関心事であり、それゆえに任務中は後始末が最も面倒な、スパイにとって最悪の選択肢の一つとして扱われたのだ。

ちなみに、僕がいちばん面白く読めたのは『柩』でした。
なんとなく、『ゴルゴ13』の「デューク東郷の過去」っぽい話だなあ、などと思いつつ(僕は『ゴルゴ』のルーツを小出しにしていく「過去シリーズ」がけっこう好きなんです)。

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