琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

実はボク、コンカツ中です。 ☆☆☆


実はボク、コンカツ中です。

実はボク、コンカツ中です。

40歳までに!とコンカツを始めた豆柴くん(39歳)。ちょっぴり内気なりに
「友達の紹介」「ネットお見合い」「お見合いパーティ」等々
がんばって活動をするけれど…。好きな人とまじめに結婚したい豆柴くんのコンカツの行方は!?

うーむ、こういう「他人のコンカツ本」って、読んでいるとけっこう面白いんですよねたしかに。
でも、その一方で、「こういうのを面白いと感じるのは、とりあえず結婚している人間の『優越感』なのかもしれないな」と、ちょっと自己嫌悪に陥ったりもするのです。


人は、「他人の持っていないもの」を探すのが大好きです。
それも、「自分は持っている(あるいは、できている)、ありふれたもの」を。
ネットとか(というか『2ちゃんねる』)を見ると、村上春樹さんに「でも、村上さんには子どもがいない」とか、武豊騎手を「種無し」とか。
イチロー夫妻に関しても。


僕は、こういうのを読むと、悲しくなるのです。
「子どもがいるって、そんなに偉いことなのか?」って。
じゃあお前は、『1Q84』書けるのか? ディープインパクトに乗れるのか? メジャーリーグで、1シーズンに200本ヒット打てるのか?


いや、「打てない」のはわかりきったことだし、だからこそ、こうして彼らが「持っていないもの」を探したくなる気持ちはわかるのです。
ただ、わかるだけに、「そんなふうに、他人の持っていないものを探すことに喜びを見出している人々」の存在は、なんだか怖くて悲しい。


すみません、えらく脱線してしまいました。
「結婚していること」「子どもがいること」は、世間一般からすれば、全然偉いことでも、すばらしいことでもありません。
でも、その一方で、それは本人にとっては、とても「特別なこと」でもあるわけです。
「できちゃった」で、10代のうちに結婚してしまう人もいれば、「仕事に夢中」だったり、「もっと良い相手がいるはず」と考えているうちに、いつのまにか「ギリギリの年齢」になってしまう人もいます。


この物語の主人公「豆柴くん」は、39歳の男性。
お見合いパーティの「一流大卒業者限定」に参加できるくらいの学歴の編集者です。
「若い頃は結婚なんて意識したことがなかったけれど、なんだか最近急に寂しくなってきて」
葬式で自分の棺を運ぶのは、葬儀社の人なのか……とか考えると、なんかすごくやりきれない気持ちになるというのも、わからなくはない。


で、友達に紹介してもらったり、お見合いパーティに出席したり、ネットでのお見合いサイトに挑戦してみたりするのですが、まあ、なかなかうまくいかないわけです。
「コンカツをしていると、つい、『条件』でばかり人をみるようになってしまう」
ああ、確かにそういう面はあるのだろうなあ。

ボクの相手の条件
・22歳〜40歳まで
・短大専門大卒以上
・たばこをすわない
・共働き希望
・容姿(自己申告で)5点中4点以上(少し妥協)

こういうのって、それこそ『2ちゃんねる』や『発言小町』では大バッシングされそうですが、まあ、「それなりの条件」ではありますよね。
「容姿の自己申告」っていうのは難しい。
「自分で容姿がいいと思っている人」っていうのは、身近にいれば、単なるナルシストのような気がしますし、「謙虚な人なら、4とか5はつけないのでは……」などと想像してしまうのですが、婚活のような「条件闘争」の場となると、アピールしないとはじまらない。
会社面接での履歴書みたいなものですよね。


この本を読んでいると、結局のところ、「コンカツ」の場でも、「もともとモテる、自己アピール力が高い人のほうが強い」のだなあ、と感じずにはいられません。
そういう「押し出し」が強くない人には、「コンカツ」って、そもそも向いていないのかも。
「自分を変えて」アピールして、本来の自分には合わない人と結婚するというのも、幸福とは思えないし……


しかしながら、この本に出てくる女性が言っているように、「行動や努力が招きよせる偶然もある」のでしょう、たぶん。
伊集院静さんが以前、『情熱大陸』に出ていたときに、こんなことを仰っていました。

 一度、「絶対に自分の好みとは違う」って女性とつきあってみるといい。
 「自分の好み」なんて、いいかげんなものだったんだ、って思うにきまっているから。

「相性」っていうのは、難しいものですよね。
自分が好きな相手が、一緒に生活していくためのパートナーとして適しているとは限らないものだし。

 そういえばボクって
 シュミはないし
 アウトドアは興味ないし
 スポーツはキライだし
「人と出会う」ためにはむずかしい生活してるよなあ

「豆柴くん」あなたは僕ですか……
 でも、いまの世の中の状況をみていると、この人は、まだ「ネタにできるくらい、悪くない条件の人」ではあるんですよね。
 少なくとも経済的には困窮していないわけだから。
 でもなあ、お金がなくても結婚している人もたくさんいる。


 この本には、マンガを書いている細川さんから「豆柴くん」への「アドバイス」のコーナーがあるのですが、僕はそれを読んでいて、「ああ、細川さんは、自分の結婚および結婚生活について自信があるんだなあ」と思ってしまいました。
(まあ、それをネタにして食べているんだから、いまさら「自信ない」とも言えないだろうけど)


 ぐるぐる巡って、結局「運」なのかな、とか、考えてしまったりもするのです。
 いや、いま結婚していて、幸せでも、いつどうなるかわからないしね……

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