琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

鍵泥棒のメソッド ☆☆☆



あらすじ: 35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋で……。

参考リンク:映画『鍵泥棒のメソッド』公式サイト


2012年29本目の劇場鑑賞作品。

金曜日の21時半からのレイトショーで鑑賞。
観客は15人くらいでした。


2時間あまりの上映時間、さまざまな小ネタも仕込んであり(銭湯での子どものリアクションには笑った。子どもってああいうことやるよね……)、飽きることなく楽しめました。
香川照之さん、堺雅人さんが上手い役者さんであるのは周知の事実だとは思うのですが、このふたりの「どこまで本気なのかわからない感じ」が、この映画の「最後はどうなるんだ?」という興味の源泉になっています。


そして、広末涼子さん。
いやー内田監督の考え方って、なんか中日の落合前監督のようです。
バントが得意な選手がヒットを打てないことを責めるのではなくバントが必要な場面で起用する。


おくりびと』では、「演技がヘタ」などと叩かれていた広末さんなのですが、今回は「とにかく几帳面で整理好き、その一方で感情表現が苦手な女性」を演じています。
これ、けっこうハマリ役だと思います。
要するに「感情の起伏が激しいキャラクターを演じるのが苦手ならば、最初から『感情表現が苦手な人の役』をあてればいい、ということなんですね。


堺さん、香川さんはどちらかというと、「熱演派」なので、けっこう良いコントラストになっているんだよなあ。


ただ、この映画、僕は正直、エンドロールを観ながら、「うーん、何か物足りないな」と感じていたんですよね。
内田監督の映画であれば、きっと、最後にこの映画をもう一度観直してみたくなるような、「どんでん返し」があるはずだと思いながら観ていたから。
こういうのって、「最後にどんでん返しが『ある』と言っても『ない』と言ってももネタバレになってしまうところがあるので、語りにくいのですが、「なんかいい話ではあるんだけど、なんか僕がこの映画に期待していた『驚き』はなかったな……」と。

最後まで、「何かもうひとひねりあるんじゃないか」と期待して眺めていたのですが、これは「叙述トリックで観客に『やられた……』と思わせる映画」ではなかったのです。


広末さんの役名なんて、「水嶋香苗」ですよ!
こんな「いかにも」な役名がついていたら、何かあると思うじゃないですか!


役者さんの魅力は素晴らしいのですが、脚本に関しては、「僕はちょっと期待外れ」だったのです。


ネット上では、かなり好意的な感想が多かったので、僕の「恋愛映画嫌い」のせいかもしれませんが……

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