琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック ☆☆☆☆



あらすじ: 1986年、ゲームをこよなく愛する少年ダイスケ(吉井一肇)は、クラスメ−トのクミコ(平祐奈)にひそかに思いを寄せていた。彼は何とかしてクミコと接近したいと願っていたが、なかなかチャンスは巡ってこない。そんな折、あるゲームがきっかけで、ダイスケにチャンスが……

参考リンク:映画『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』公式サイト


2014年6作目の映画館での鑑賞作品。
公開初日の土曜日の19時からの回で、観客は僕も含めて2人でした。
ゲームセンターCX』が映画になると聞いたとき、「東京で単館上映、みたいな感じで公開して、DVDで制作費を回収するんだろうな」と思っていたのですが、全国各地の映画館で上映されることに喜びつつ、正直、危惧してもいたんですよね。
もともとコアなファンが多いコンテンツですから、ある程度の集客は見込めると思うのですが、カップルや家族連れが「じゃあ、映画観ようか」というときに、なんとなく面白そう」という感じで選ばれる作品じゃないので、公開規模が大きくなることによって「ダメコンテンツ」というイメージを植え付けられてしまうのではないか?と。


で、この映画『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』。
「『ゲームセンターCX』のファンにとっては、面白いというか、映画館で有野課長を観られるだけで嬉しい」のだけれども、正直、ここまで『ゲームセンターCX』のマイティボンジャックの回を流用して「映画」にしているとは予想していませんでした。
けっこう「手抜き」っぽく感じてしまうんですよね、やっぱり。
この番組のもともとのコンセプトを考えると、映画になったからといって「気合いが入った感動超大作」になるのも、それはそれでおかしいのだけれども。


この映画では、ゲームマニアのプチオタク中学生を主人公にした「1986年パート」と、有野課長が『マイティボンジャック』に挑戦する「2006年パート」が交互に描かれます。


「1986年パート」は、なんというか、懐かしいアイテムを並べただけの、ベタな小芝居を見せられている感じだし、ヒロインとの最初のほうの会話でオチもバレバレなのです(まあ、あえてバレバレにして、観客をニヤニヤさせている可能性はあるけれど)。
ストーリー的には、オタクコンテンツを極める覚悟さえなかった、「中二病」中学生の『桐島、部活やめるってよ』みたいな感じです。
ところどころに出てくる小物やテレビ番組(『スケバン刑事』の南野陽子さんの台詞回しのぎこちなさが、ものすごく懐かしかった……)には、思わずニヤニヤしてしまうのですが、そういう「ノスタルジックなディテール」と「おなじみの『ゲームセンターCX』スタッフ捜し」以外の見所がなかったんですよ。
僕はそれでもけっこう楽しかったのですが、「これって、『映画』で、1800円払って観ているのだよなあ」と思うと、ちょっと割高だなあ、と感じたのは事実です。
「これも番組と有野課長へのお布施」「ゲームセンターCXが、映画の大スクリーンで観られるだけで幸せ」と割り切れるくらいのファン向けでしょう。


「2006年の有野課長の挑戦パート」は安定の面白さなのですが、DVDやCSで『有野の挑戦・マイティボンジャック』を観たことがある人にとっては、細切れの名場面を見せられて、「ああ、こんな場面あったな!」と再確認する作業でしかありません。
しかしながら、この番組に対する「予備知識」がない人には、「有野課長」がやっていることの意味が理解していただけるかどうか。
もし、『ゲームセンターCX』への入門編として、この映画から入ってみようか、という方がいらっしゃったら、僕としてはこの映画よりも、番組のDVDをおすすめしたいのです(『プリンス・オブ・ペルシャ』の回とか、『スーパーマリオワールド』の回とかを、ぜひ観ていただきたい)。
この映画を観るより、『ゲームセンターCX DVD-BOX4』の『マイティボンジャック』を観たほうが、よっぽど「ドラマチックで感動的」なんだよなあ。


僕は『ゲームセンターCX』をこよなく愛しているのですが、この作品に関しては「そもそも、『ゲームセンターCX』と、大規模に公開される映画」って、相性悪いよなあ、と思わずにはいられませんでした。
これは『ゲームセンターCX』にとっても、「映画」にとっても、あんまり幸福ではなかったなあ。と。
ファンとしては、「こういうのより、『有野の挑戦』の新作を映画館で観せるだけのほうがよかったのでは……」とか、考えてしまうんですよね。
この映画をきっかけに新しいファンを開拓する!というような「意欲」は感じませんでしたし。


「ファン以外にとっては、何が面白いのか、よくわからない映画」で、「ファンにとっては、目新しさがなく、『手抜き』に感じられる映画」なので、「誰のための映画化だったのだろう?」と感じるのだけれども、今後の「『ゲームセンターCX』のためにも、ファンには、『お布施』のつもりで、この晴れ姿を見届けてもらいたいなあ」とも思っているのです。



ゲームセンターCX DVD-BOX4

ゲームセンターCX DVD-BOX4

これに『ゲームセンターCX』の「マイティボンジャックの回」が収録されています。

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