琥珀色の戯言

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「世に棲む日々」(司馬遼太郎)

明治維新で活躍した長州の高杉晋作を描かれているの作品なのですが、そのなかで、

「おもしろき こともなき世を おもしろく 
  棲みなすものは 心なりけり」

という高杉の辞世の句が紹介されています。
ただし、この句の前半「おもしろき こともなき世を おもしろく」を詠んだ時点で高杉は絶命してしまい、彼の愛妾が「棲みなすものは 心なりけり」を加えたのだとか。
司馬遼太郎は、この「下の句」が説教くさくてあまり好きではない、というようなことを書いていた記憶があるのですが、僕はなんとなく、高杉は「書く前に絶命した」のではなくて「下の句が思いつかなかった」のではないか、という気がしているのです。
あんなに波乱万丈の人生を送った人でも「おもしろくない」のなら、所詮人生なんてそんなものさ、と考えるべきなのか、その「おもしろくない」を「おもしろい」にしようという姿勢そのものが彼の人生を歴史に残したのか。

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