琥珀色の戯言

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研修医と私

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僕も以前は研修医で、逆に研修医を指導したりする立場になったこともあるのですが、研修医時代にいちばん辛かったのは、「自分の話を聞いてくれないオーベン(指導医)」でした。「なんでもオレの(私の)言うとおりにしなさい!」と言って、何かちょっと質問に答えられなかったりすると「勉強不足だ!」と冷たい態度をとられて、毎日その人と顔を合わせるだけで、胸が苦しくなった記憶があります。本当にあの頃は、毎日夜寝るのが嫌だった。寝たら明日が来るから。
少なくとも今の医療現場では、オーベンにも「我慢して人を育てる」という姿勢が必要だと僕は思うのです。ただでさえ、新研修制度の歪みで、「その科に興味がなく、嫌ならよその科に行けばいい研修医」と「どうせ自分の科には入らないであろう研修医の面倒をみさせられる指導医」の間の心の溝は、広がっていっているというのに。
先輩だから、上だから「間違っていても、横暴でも、後輩は言うことを聞くべき」なんていうのは、少なくとも時代に即していないし、僕は逆に、要領のよくない研修医でも、時間をかけて育てていきたいし、そうあるべきだと思っているのです。少なくとも、「指導する立場になってしまった側」としては、「研修医を育てること」に対して、謙虚にならなければならないと考えています。僕も、そんな「できない研修医」だったので。
他人に何かを「教える」には、「教えるための技術」というのもあるはずです。もっと噛み砕いていえば「相手に自分の気持ちを伝えるための気配り」と言ってもいいでしょう。同じ内容の授業を同じ生徒にやるとしても、その「教え方」によって、理解度は全然違ってくるはずです。「こんなことも知らないなんて、けしからん!」とか言うのが「正しい指導」であるならば、駒大苫小牧は、今頃優勝パレードで大盛り上がりでしょうし。
僕が以前オーベンとして一緒に仕事をしていた研修医たちがちょっと立派になって研修医を指導するようになり、「いや〜あの頃の先生も、大変だったんですねえ」なんてわかったような口を叩かれると、僕は本当に嬉しくて、涙が出そうになるのです。そして、こいつらに負けないように自分もがんばらなくてはなあ、と思います。1年目と5年目には、厳然たる格差が存在するのですが、11年目と15年目なら、立場が入れ替わってもおかしくないから。

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