琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

年輪

最近年をとるということについてよく考える。
たぶん、年をとるということは、本屋で椎名誠の「さらば国分寺書店のオババ」とプルーストの「失われた時を求めて」が並んでいて、一冊分しか買う金が無く、どちらを選ぶかという場合に、椎名誠のほうを買ってしまうようになるということなのだと思う。
少なくとも、20歳くらいの僕は、そういうシチュエーションに置かれたら、「すぐに読めて、面白いであろう椎名誠」よりも「たぶん本棚の飾りにしかならないが、持っていると文学青年っぽくて、自分にとって読むべき本だと思っているプルースト」を買っていたのだ。
こういうのは、ラクに生きられるようになったと思う一方で、現実にどんどん妥協していって、「自分が理想とする自分」というやつを、あきらめていっているのだろうなあ。
不倫とかをけっこう簡単にしてしまう大人がいるのは、おそらく、そういうことなのだ。
僕は、自分が見栄っ張りでなくなりつつあるのが、嬉しくて寂しい。

椎名さんに他意はないんですけど、妙な話の例に挙げちゃってすみません。

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