琥珀色の戯言

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笑の大学

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昨夜鑑賞。
ああ、いかにも「三谷幸喜の舞台だ」という感じの作品(というか、「三谷作品の最高傑作」との呼び声も高いのだとか)。
役所広司扮する検閲官向坂と稲垣吾郎扮する舞台作家、椿とが、喜劇の台本への「検閲」を通して、「笑い」の魅力にとらわれていく、という話なのですが、この映画版を観ていて、あらためて、役所さんというのは素晴らしい役者だなあ、と思いました。
ちなみに、いろんな感想を読んでいたら、舞台版では向坂は西村雅彦さん、椿は近藤芳正さんの当たり役だったのだとか。役所さんの演技を観ていると、この役は役所さん以外にはありえない(あるいは、松本幸四郎さんとか)、と思っていたのですが、西村雅彦さんのほうが、確かに、もっと喜劇としての面白さは出るかもしれないなあ、という気もしました。こちらもぜひ一度観てみたいものです。
もともと、机ひとつしかない取調室で、登場人物2人で演じる舞台だったということで、この映画版でもその名残は残っているのですが、妙に世界設定に凝っているわりには、登場人物の科白は現代超だったりするので、それはそれでなんとなく違和感も。

以下ネタバレなので、未見の人は読まないでください。でも、そんな悪口じゃないし、観る価値のある良い作品だと思います。


本当に素晴らしく面白く、かつ洒落た作品なのですが、僕はひとつ気になったところがあって、それは、最後に「笑えない喜劇を作って来い」と向坂が椿に命じる場面なのですけど、僕はなんで向坂がその前の「検閲に対してもっと笑える台本にすることが、自分の『抵抗』なのだ」という告白に対して、急にキレてこんな無理難題を出したのか、ちょっと婦に落ちませんでした。いや、その「笑えない喜劇」に対して、椿がどういう答えを出してくるのか、というのが、この作品のひとつのクライマックスなのだということはわかるのだけれども、やっぱり、あそこまで引き込まれている人間が、あのくらいの「告白」で、急に体制側に引き戻されるのはヘンなんじゃないかなあ、と。向坂は、あの時点では、もうそんなこととっくの昔に気がついていたのではないか、と僕は思っていたのに。
そして、その「答え」が、赤紙によって解決されてしまうというのも、なんだかあまりにできすぎているのではないかなあ。どちらかというと、最後で急にシリアスなメッセージを入れるのではなくて、「笑い」の世界を完璧につきつめて欲しかった、とも感じたのです。まあ、「テーマを登場人物が自分で語ってしまうところ」は、いかにも三谷作品なんですけどねえ。

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