- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2005/04/08
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「舞さんのラストダンスのお相手は?」
(場内暗くなり、スポットライトがぐるぐると回る。舞は自分がラストダンスを踊るべき相手がこの場にいないことに戸惑い、なかなか指名できない)
なんだかね、この場面って、もうベタなんですよベタベタ。このシチュエーションで杉山が来ないわけがないって観ている人はみんな思っているわけですよ。でも、来るに決まっていると思いながら、やっぱりちょっとドキドキするんですよね。そして、スーツ姿のままダンスホールに駆け込んできた杉山がスポットライトに照らし出され、杉山はちょっと眩しそうに目を細めてのけぞる。そして、その姿を見つけた舞は、嬉しそうに杉山のところにやってきて、こう言うのです。
ああ、なんてベタなんだ、もうあまりにベタすぎて感激しちまったよ僕は。何度観ても、こんなシーンで感動するなんてカッコ悪いなあ、と思いつつも感動してしまいます。
この映画を観るのはたぶん3度目なのですが、今回は、
- 作者: 周防正行
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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この映画は、人生半ばで自分の生きる目標をなんとなく見失ってしまって、でも自分の人生を捨てるほどの変革を望んでもいない中年たちの物語なのですが、僕はとくに杉山の奥さんのことが気になっていました。彼女は貞淑な妻であったのだけれど、ダンスに浮気した杉山のことが許せなくなり、なんだか2人はぎくしゃくしてしまいます。あの庭でのダンスのシーンで2人は和解したようにも見えるけれど、周防監督は、著書のなかで、アメリカの記者の「あの夫婦は仲直りしたように見えるがとても曖昧だと思った。日本人の間ではそうは言われなかったか」という質問に対し、
そう言われた記憶はない。しかし夫婦の関係はまだこれから先もゆれ動くだろう。だからハッキリと白、黒つけることはできない。仲直りしたというのは、イエスでもあるしノーでもある。これはまだまだ夫婦の関係の発展途上だと思う。
と答えられ、また、「ダンスを習う以前から二人に問題はあったのか?」という質問に対しては、
ダンスを習うことで、二人の間に問題があることが分かった。
と仰っておられます。夫婦っていっても、なかなか自分たちですらわからない問題というのを抱えていたりするものなんだよなあ。
あと、舞さんは最初のほうでは僕が知っている怖い女性医師に似ていて、かなり感じ悪かったのですけど、映画の最後は表情とかも柔らかくなって、本当に素敵になるんですよね。そして、姿勢が美しいってすごく魅力的だと、草刈民代さんを観ていつも思います。
ちなみに、プロのバレエダンサーだから、社交ダンスだって簡単にこなしたのではないかというイメージがあったのですが、草刈さんにとっても、ボールルームダンスはけっこう難しかったとのことで、それは「ボールルームダンスはハイヒールで踊り、バレエはトウシューズで踊るという違いが一番大きかった」そうです。