琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

文学的な喫煙

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 佐藤賢一さんは「王妃の離婚」や「双頭の鷲」など、中世ヨーロッパを描いた小説を主に書かれている作家です。
 僕は医者で非喫煙者なので、禁煙の風潮が広まっていくことには賛成なのですけど、【禁煙の風潮は世界的なものではなく、単にアメリカから輸入されただけなのだ】というのは、かなり興味深く感じられました。ただ、「ヨーロッパ」とひとまとめにできない面もあり、ヨーロッパの文化のひとつとしてのF1も「タバコ・マネー」と「タバコ広告禁止」のあいだでけっこう揺れ動いているようなのですが。「ヨーロッパでタバコ広告禁止の国が多くなったから、アジアでのレースが増えてきている」なんていうのは、ある意味「アヘン輸出」みたいなものではないか?という気もします。
 でもね、その一方で、僕は自分が吸わない分だけ、「タバコってカッコいいなあ」というイメージを持っているのも事実なんですよね。あんな煙が美味しいとは思えないし、実際に隣で吸われているとかなり迷惑なんですけど。
 島本理生さんの「ナラタージュ」で、小野君という男の子がタバコを吸うシーンがあるのだけれど、なんだか妙にカッコいいなあ、とか思いながら読んでいました。そういえば、村上春樹さんの小説で、登場人物がベランダでタバコを吸っているシーンで、カッコいいなあ、と感じた記憶がありましたし。
 世の女性というのは、「タバコは嫌い」でも「タバコを吸う男は、必ずしもキライじゃない」のではないかという気もするのです。
 文学的には、酒よりタバコのほうが、圧倒的にカッコいい。
 「酒」なんて、現実のアルコール依存の人に接して、周囲の人の話を聞いていると、そりゃあもう悲惨なものです。それでも、日本には「禁酒文化」ってあんまりないんですよね。アメリカに留学していた先輩によると、「アメリカでは、家の外で酔っ払って醜態をさらしているようなヤツは、その時点でまともな人間とは見てもらえない」らしいです。
 もちろん、医者的には「絶対禁煙!」なのですが、ときどき、「長生きは人間にとって最大の価値なのか?」と思い悩んでしまうこともあるんですよね。患者さんにはそんなこと、言えるはずもありませんが。

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