琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

立喰師、かく語りき。

立喰師、かく語りき。

立喰師、かく語りき。

読み終えてから言うのもなんですけど、結局これって、何の本だったのだろう?
映画「立喰師列伝」の紹介としては、いささか押井守監督の個人的な趣味が色濃く反映されすぎているし、その一方で、「思想書」としては、あまりにエンターテインメントに走りすぎているのだよなあ。
とくに、宮崎駿監督に対する辛辣なコメントは凄い。

 押井:この間の『ハウルの動く城』だって、「CG使ってないんだ」って宮さん(宮崎監督)は言い張ってたけど、現場の人間は使いまくってるよ。あの人が知らないだけだよ。まるきり裸の王様じゃないか。それだったら、自分の手で(CGを)やったほうがよっぽどましだ。いや、わかりやすくて面白いから、つい、宮さんを例に出しちゃうんだけどさ(笑)。
 いかに中性洗剤使うのやめたって言ったところで、結局は同じことじゃない。宮さん、別荘に行くとペーパータオルを使ってるんだよ。そのペーパータオルを作るために、どれだけ石油燃やしてると思ってるんだ。やることなすこと、言ってることとやってることが違うだろう。そこは便利にできてるんだよね。自分の言ったことを信じられるってシステムになってるんだもん。

たぶん、今の日本のアニメ界(映画界?)で、こんなことを「公言」できるのは、押井さんだけだと思います。
そういえば、宮崎駿監督も、手塚治虫先生のアニメ制作に関しては、それがあまりに現場のアニメーターやスタッフたちに対して報われないシステムになっているということに「現場の人間として」神様・手塚に苦言を呈しておられましたから、歴史は繰り返すということなのかもしれません。まあ、押井さんのほうは、ちょっと揚げ足取りっぽいところもあるんですが。

それにしても、この本を読めば読むほど、押井監督というのは不思議な人だなあ、と思えてきます。「世界の終わり」を念じつつ学生運動に参加したり、「勝敗論」にこだわってみせたりしている一方で、あの「ビューティフル・ドリーマー」では、「永遠の夏休み」を描いてみせているのですから。

というわけで、「立喰師列伝」観てみようと思って調べてみたら、なんと僕の地元近くでは、すでに上映終了しておりましたとさ。
それにしても上映館少ないなあ……

公式サイト:http://www.tachiguishi.com/top.html

アクセスカウンター