琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「新世紀エヴァンゲリオン」の最終回をめぐって

コンビニで雑誌を見ていたら、今週の「週刊プレイボーイ(6/5号)」http://wpb.shueisha.co.jp/mokuji/index.htmlに、「エヴァンゲリオン10年目の真実」という特集記事を発見し、どうしても気になったので購入。いや、歳をとったらとったで、「プレイボーイ」買うのもかえって恥ずかしいものですね。10代の頃は、オッサンになったら平然とエロ本とか買えるものだと思っていたんだけど。
まあ、それはさておき、この「エヴァンゲリオン10年目の真実」は、なかなか興味深い記事でした。加藤夏希さんの「綾波レイコスプレ」は、うーん、なんか違うなこれは、という感じでしたが。

僕が「エヴァ」を最初に観たのって、実はつい最近で、この雑誌にも触れてあるのですが、パチンコの「エヴァンゲリオン」がきっかけだったんですよね。年齢的には、リアルタイムで観ていても全然おかしくないはずなのに、10年前の僕にとっての「エヴァ」って、「包帯巻いた女の子の何が面白いんだ?」とか、「なんだか精神世界モドキみたいな話に乗せられているオタクがたくさんいるみたいだな。あー若い若い」というような感じだったんですよね。
しかし、今回10年経ってはじめて「エヴァ」を観たら、もう見事にズッポリとハマってしまいました。いや、もちろんストーリーやキャラクターそのものも面白かったのですけど、この作品の「演出力」って凄いなあ、と感動しっぱなし。ほんと、「結論はわかっているはずのこと」をひたすら引っ張って引っ張って、観ている側の臨界点を超えたところで、スッと出してくるような、あの間のとりかたなんて、本当に巧いなあ、と。ちなみに僕は「ネルフ、誕生」の回が一番好きです。あれだけの情報とか時間の流れを、あんな短時間でドラマチックにみせてくれるなんて!


以下はややネタバレ気味な内容になってしまうので、御注意ください。


で、この「週刊プレイボーイ」の特集のなかに、「エヴァ」の最終回についての興味深いコメントがいくつかあって(残念ながら、その「最終回」がTV版の最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」なのか、映画版の第26話「まごころを、君に」なのか不明確にはされていないものもあったのですが)、宇多田ヒカルさんが、「エヴァ」に対してコメントされているものなどもあったのです。ちなみに宇多田さんは、夫の紀里谷さんに「エヴァ」を薦められたのだとか。

以下は、宇多田さんのTV版のラストに対するコメントです。

 テレビ版の最終話は直球じゃないですか? 救済があって。好きなんですよね、私。どうしてあの最終話で皆が納得しなかったのか不思議ですね。スゲェ、普通にポジティブだし。でも、おかげで劇場版になったし、まいっか、って思ってるんだけど(笑)

ちなみに、プロデューサー・大月俊倫さんは、このようにコメントされていました。

 最近、あの結末は是か非かについて庵野さんたちとお話をしたんですよ。
 エヴァが現在もあるのは、あの衝撃的な展開によって皆さんに「なにか違う」、「俺ならこうする」とそれぞれ「補完」してもらえたおかげ。僕らにとってあの結末は肩すかしでも消化不良でもなく、長い時間をかけて”永遠に終わらない最終話”になれた唯一無二のクライマックスだと考えています。これが僕たちからの回答ですね。

 僕は最終回を観終わったあとは、「なんじゃこりゃあ!」とニヤニヤしながら呆れかえってしまったのですが、まあ、あのTV版の最終回というのは、ある程度予備知識がある状態で観れば、「それも『エヴァ』らしい」というふうに受け取れるものではあります。宇多田さんが書かれているように、「とりあえずハッピーエンド」ではありますよね。少なくともシンジは、それなりに救われているようには見えるし。「夢オチなのか、これは…?」とも思ったけど。
 しかしながら、先が気になるからといってレンタルショップにすぐに借りに行けるわけでもなく、「エヴァとはこういう話だ」という予備知識を持たずに「リアルタイムで最終回を楽しみにしていた人々」にとっては、たぶん、あの第弐拾伍話「終わる世界」を観たあと、「最終回直前にしては、なんだか『1回休み』みたいな話だなあ。来週の最終回はどうなるのかなあ…」とさんざん引きずられた挙句に、「もう1回休み」で終わってしまったのですから、その落胆も大きいと思うんですよね。それこそ、当時はネットの掲示板にそのフラストレーションをぶつけられる人は少なかっただろうし。当時は、「制作が間に合わなかったらしい」なんて噂がまことしやかに流れていたそうで、「BASTARD!!」かよ!とかちょっと思ってしまいましたが。
 でもほんと、「説明不足」だからこそ大月さんが仰っておられるように「永遠に終わらない最終回」になっているというのも事実で、いまだに「解釈」され続けているアニメ作品というのも、唯一無二ではあるのですよね。僕は正直、「まごころを、君に」よりも、TV版の最終回のほうが好きです。映画版のあの実写のシーンとか、実験としては凄いけど、やっぱりちょっと引いてしまいましたし。庵野さんによると、あの実写のシーンって、エヴァフリークたちへの「そろそろ現実に戻れよ」というメッセージでもあったらしいのですが。
 それにしても、「エヴァ」って20歳くらいで観なくて本当に良かったと思います。これ、僕みたいな内向的な人間にとっては、かなり引きこもりへのシンクロ率を上げてしまう作品だと思うもの。

あと、もうひとつこの特集で気になるコメントが。
綾波レイフリークの加藤夏希さんは、レイの自爆について「まだいますから(笑)」と(あっさり)コメントされたそうです。
綾波レイを「永遠に生きている」ととらえるか、「永遠に死んでいる」ととらえるかによって、この作品へのスタンスは、両極端に別れるのかもしれません(ちなみに僕は後者のほうです)。

アクセスカウンター