琥珀色の戯言

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『DEATH NOTE』感想

http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/

昨日観てきました。
世間的には、まさに「賛否両論」という感じのこの作品なのですが、僕はそれなりに楽しめました。レイトショーで1200円だったので、まあ、払ったお金とかかった時間を損したとは思わないくらいには。
ただ、この作品に関して言えば、やっぱり「原作を読んでいること」が大前提ではないかという気がします。というか、「DEATH NOTE」は、漫画でもときどき「ここはどういう設定なんだ?」と読み返さなければならないようなシーンがあったし、けっこう頭がこんがらがってくるようなシーンが多いんですよね。原作を読んでいれば、映画化するときに「漫画でわかりにくかったところ、辻褄が合わなかったところ、絵的に面白くなかったところ」をいかに映画化、映像化したのか?というような楽しみ方ができるのです。夜神月役の藤原達也は、なんだか安心して観られました。というか、正直あれじゃ単なる「幼稚な殺人鬼」だとしか思えないんだけど。あと、Lはちょっと挙動不審すぎ。リュークの中村獅堂の声はなんとなくハマっていました。助手席は一般人じゃないだろ!とか、ちょっとタイムリーな話が気になったりもしましたが。
それはそうと、「デスノート」って、実写で見るとなんだか変ですよね。そもそもそんなノートに「How To Use」とかが懇切丁寧に書いてあるのってすごく違和感があるんだよなあ。

以下、ネタバレ感想です。
しかし、この映画でいちばんしっくり来なかったのが、夜神月の行動に「気高さ」が感じられないところなのです。漫画での月は、すごくプライドが高くて自信家なのだけれど、少なくとも「手段を選ばない人間」ではないんですよね。いや、極端な話、そこまでのことをやろうとするのだったら、「死神の目」でもなんでも使えばいいじゃないかと読んでいる僕は思うのだけれども、それでも月は、「知恵を絞って、スマートに切り抜ける」ことにこだわっています。そしてその月の不器用なまでの潔癖さこそが、「DEATH NOTE」という世界の最大の「ルール」なわけです。恋人の詩織をああいう形で犠牲にするのは、夜神月という人間の「ルール」に反していると思うし、ああいうことができないからこそ、夜神月に多くの読者は共感できるのです。というか、普通の人間が恋人をあんなふうに殺されて「これはキラのせいだ」なんて絶対に思うわけないって。むしろ、「あの南空ナオミとかいう頭のネジがぶっ飛んだ女はなんなんだ…」と唖然というのが通常の反応のはず。
Lに関しては、この映画のなかでは、「あんなに食べて、よく太らないなあ」という印象しか残りませんでした。
それにしても、ここまでが「前編」だとしたら、「後編」は、かなりあわただしい展開になりそうです。あるいは、「ヨツバキラ」はスルーするのかな。まあ、「ヨツバキラ編」ってあんまり面白くないので、僕はスルー賛成なんですけど。

ところで、僕は「DEATH NOTE」という作品そのものに対してひとつ大きな不満があって、それは、「世界のルールが重要な話のはずなのに、肝心のルールが次から次へと追加されていく」ということなのです。もっともこれは、「人気が出たら、作者側の意思だけでは、なかなか終わらせられない」という制約のためなのかもしれないし、次第にこんがらがっていくところも、それはそれで面白いと言えなくはないのですけど。

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