琥珀色の戯言

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訴えてやる!大賞

訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73 (ハヤカワ文庫NF)

訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73 (ハヤカワ文庫NF)

アメリカの「訴訟社会」が抱えている病が、非常に冷徹に記されている本。
その一方で、この本の著者の見解に対しても、「いや、それは訴えた側にも理があるのではないか?」という事例もあるのですが、そのことがかえって、この本に対する信頼度をあげているような気がします。

 怒りのいいところは、それが蓄積することである。金のつまった財布の出所が本当にわかりはじめると、怒りが湧いてくる。財布はわれわれの懐から出ているからだ。保険会社ではないのかって? とんでもない。保険会社がどこから金を手に入れるかを考えてほしい。保険料という形で、あなたから取っているのだ(保険料が年々あがっているのはすでにお気づきだろう)。これはほんの序の口にすぎない。一部の人々は、SUVがステーションワゴンより頭でっかちであることがわからず、横転事故を起こしたあげく、裁判で多額の損害賠償をせしめた。おかげで、SUVの価格がいくらあがったことだろう。医師は医療過誤保険に多額の費用をかけるだけでなく、患者から訴えられた場合に備えて不要な検査を行う。そのせいで、治療費がどれだけ増えたことだろう。毎日購入する品々に支払う金のうち、保険や訴訟にいくら使われるのかを知れば、怒りがふくらんでくる。知れば知るほど怒りは募る。

 大企業や自治体などの「権力者」が理不尽な裁判で賠償金を払わされるのを「いい気味」だと思ってみている人もけっして少なくないのかもしれませんが、その「しわ寄せ」を実際に受けているのは誰なのか、ということなのです。

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