琥珀色の戯言

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第85回凱旋門賞・ディープインパクトは3着

http://www.nikkansports.com/race/horseracing/arc/f-rc-tp0-20061002-98171.html

 この「3着」の前にどんな形容詞をつけたらいいのか考えてみたのですが、結局僕には思いつきませんでした。
「大健闘の」と言われるような低いレベルの馬じゃないし、「無念の」というほど酷い競馬じゃなかったし、「惜しくも」と言えるほどの僅差でもなかったし。
 今回のレースに関しては、59.5キロという過酷な斤量、そして、3歳馬との3.5キロという大きな斤量差、3ヶ月ぶりのレースで、パドックでいつもより少し立派に見えたこと、スタートが良すぎて慣れない先行する競馬になってしまったこと、道中のペースが遅く、やや行きたがってしまったこと、直線での武豊騎手の仕掛けがほんの少しだけ早かったように見えたことなど、いくつか「敗因」はあったように思えます。そうそう、追うときの騎手の腕っぷしも、明らかにレイルリンクの騎手のほうが強かった。それにしても、リプレイを何度観ても感じるのは、「勝てない競馬ではなかった」ということです。そして、もうひとつ明らかなのは、「でも、ディープは勝てなかった」ということ。勝負の世界では「勝てたかもしれない」「勝てるだけの実力はあった」というのは、単なる言い訳にしかすぎないのです。「買おうと思っていた馬券」が、全くお金にならないのと同じように。

 そうですね、残念ですね。

 あの状況で執拗に武豊にマイクを向ける合田さんの空気読めなさには悶絶しましたが、あの武豊の後姿とインタビュー拒絶が、このレースのすべてであるような気がしてなりません。武豊という人は、「競馬界の大スター」であるという自分の役割をよく認識している人で、そんなにお金にもならないような地方競馬にもわざわざ乗りに行ったり、マスコミに対しては辛い状況でも誠実に対応しているのですけど(まあ、そんなところが僕はちょっと苦手ではあるんですが)、今日のあのマイクを向けられたときの無言は、何よりも今の武さんの気持ちを雄弁に語っていたのではないでしょうか。「手も足も出ない内容」であれば、武豊はインタビューに冷静に答えていたように思われます。
 それにしても、ディープはこの慣れない環境下で今までと全然違った展開であれだけの競馬をしてみせるのですから、本当にポテンシャルの高い馬ですね。結果的にはハリケーンランシロッコも来なかったわけですが(シロッコなんて最下位!)、我々が「壁を破ること」を期待していた一方で、「壁を破られなかった」欧州側は、胸をなでおろしているに違いありません。レイルリンク優勝の盛り上がりには、そういう「外敵撃破」の喜びもあったのではないでしょうか。それにしても、ディープ単勝1.1倍っていうのは、ちょっと悪い予感がしたんですけど。

 正直、この敗戦に関しては、「世界一決定戦で3着に健闘」というよりは、「ディープでも勝てなかったのか……」という絶望感のほうがはるかに深いように思うし、ディープが勝てなかった凱旋門賞を、今後「日本の普通に強い馬」が勝ってしまうとしたら、それはそれで僕は寂しいです。そう、凱旋門賞を「ディープインパクトが」勝つことに意義があったのです。
 その仮定は無意味だし、武豊が乗って勝つことに意義があるのだとしても、デットーリルメールがディープに乗っていたら……と、考えずにはいられません。
 ほんと、ステップレースを一度使って馬がロンシャンに慣れていれば、あるいは、騎手がもっとロンシャンを知り尽くしていれば……
 ああ、なんだか本当にモヤモヤする結末だ……
 
 岡部さんの直線の「まだ、まだ!」という声が、今も僕の耳に残って離れません。
 本当に、最高で最低のレースだった。