琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

SAYURI ☆☆☆

SAYURI [DVD]

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 少なくとも日本では「なんじゃこりゃ?」という批判的な感想が多い作品で、僕がよく行くTSUTAYAでも、作品の知名度のわりにはあまり借りられていないなあ、と感じていたのですが、1週間レンタル可能になったのを機に借りてみました。
 全体的な感想としては、「まあ、巷間言われているほど悪くないんじゃない?」という感じです。大後寿々花が成長してチャン・ツィイーになるとは全然思えないし、日本人としては、日本が舞台のはずのこの映画で主要キャストがみんな英語で喋っているというのはなんだかちょっと悔しいような気もするのですが、観ているうちに、これは「日本にそっくりなアナザーワールド」だから、まあいいかな、と思えてきました。ラストがかなり唐突な印象があるのと、アメリカ人が悪役なので、海外でもヒットしにくかっただろうな、というのはあるのですけど、「ひとりの女性の一代記」として観れば、「ゲイシャの世界」を垣間見られることもあり、けっこう面白かったです。専門職マニアの僕としては、ゲイシャの「芸」の部分をもうちょっと深く描いてあればもっと楽しめたかもしれません。
 キャストのなかでは、渡辺謙役所広司の共演が非常に興味深かったです。彼らの持つ「空気感」というか、静の渡辺、動の役所というコントラストがものすごく伝わってきて。逆に「お互いが強すぎて噛み合っていない」ようなところもあるのですが。

 ちなみに「SAYURI」の原作である「Memories of a Geisha」には、
http://ja.wikipedia.org/wiki/SAYURI
↑のような裏話があったそうです。実際は、そんなにみんな悪い人ばかりではなかったけれど「小説的」に脚色されてしまっている、と。

 正直、「ネタにしてやろう」というつもりで観たのですけど、かなり楽しめる作品だったと思います。

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