琥珀色の戯言

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『のだめカンタービレ』感想

http://wwwz.fujitv.co.jp/nodame/index2.html

 うーん、微妙なデキか……?
 のだめ役の上野樹里さんと千秋役の玉木宏さんはけっこうイメージに近いような気がするのだけれど、上野さんはもっと弾けてしまってもいいんじゃないかなあ、とちょっと思いました。あと、第1話にあんまり盛り上がるシーンが無いっていうのは、原作を知らない視聴者にとっては、やや厳しいかも。
 このドラマを観てあらためて感じたことなのだけれど、「表現」っていうのは難しいものですね。
 マンガの「のだめカンタービレ」では、「音楽をマンガで表現した」という点が非常に評価されているのですけど、じゃあ、実際に「音」を聴かせることができるテレビドラマのほうがやりやすいだろうな、と思いきや、このドラマを観てみると、それはかなり難しいものなのだな、と。
 のだめの「破天荒なのだけれども、聴いているものの心を動かす演奏」なんていうのは、文字でマンガの登場人物が喋っていて、演奏しているのだめの姿が描かれていれば、マンガの読者は頭の中に、その「のだめの演奏」を自分で解釈して流してくれるわけです。でも、テレビドラマでは、実際の「音」を流さないわけにはいきません。
 結果として、「で、こののだめの演奏って、どこがいいの?そんなに驚くようなものなの?」というようなちょっと嫌な感想を僕は抱いてしまいました。だって、のだめというキャラクターの力の源泉は、その「演奏」にあるわけですから。
 ドラマ的には、「実際の音でマンガで描かれている『のだめの演奏』を表現する」ことが難しいために、千秋のモノローグというか、のだめの演奏に対する解説が、実際の演奏を押しのけて延々と流れる、ということになってしまうのです。
 結局のところ、「各人の脳内天才ピアニスト」を圧倒できるような現実の音なんて、この世にはなくて、だからこそ、「文字で想像させる」というのは最強なのだ、ということなのでしょう。
 実際には聴こえないからこそ、聴こえてくる「音」も、あるのかもしれませんね。

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