琥珀色の戯言

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[本]文壇アイドル論 ☆☆☆☆

文壇アイドル論 (文春文庫)

文壇アイドル論 (文春文庫)

文庫化されていたのを書店で見つけたので読んでみました。
村上春樹俵万智吉本ばなな林真理子上野千鶴子立花隆村上龍田中康夫の現在でも多くの人に読まれ続けている「80年代〜90年代前半の『文壇アイドル』」たちについて、当時の「文芸評論」からの多くの引用とともにわかりやすく語られています。この齋藤さんの「評論」に比べて、この本のなかでとりあげられている「文芸評論家」たちの文章たちは、難解な言葉が羅列してあるだけの意味不明なものだったり、単なる「感想」とか「お追従」だったりするものが非常に多くて笑ってしまいました。
この本で取り上げられている作家のうち、僕がそれなりに読んでいる人というのは村上春樹吉本ばなな立花隆の3氏なのですが(逆に、この「アイドル」たちのなかで、誰を好んで読んできたかで、読み手としての好みがけっこうわかるような気もします)、正直、

 ハルキランドはゲーセンである。

 なんていう主張に関しては、「ちょっと飛躍しすぎなのでは?」とも感じたのです。意味ありげな内容を「解読」するのにこだわっている人がごく一部にいるのは事実なのですが……
 あと、齋藤美奈子さんというのは、ものすごく真面目な人だなあ、という気もしたんですよね。林真理子さんの章では、林さんの「成り上がり」について、上野さんの「天下り」と比較されているのですけど、当時、林真理子さんが世間に叩かれた大きな要素のひとつは、その「容姿」にあったのです。「あんな●●なのに、ツケアガリやがって!」というのが、観衆の「林真理子バッシング」の大きな要因でした。でも、齋藤さんは、それには触れずに、あくまでも「作品の問題」「作家のキャラクターの問題」として語られています。いや、齋藤さんは、わかっていたからこそ、あるいは、「文芸評論家」の矜持として、「容姿」に対してあえて触れなかったのだと思うのですが……「作品重視」であるがゆえに、同時代的にみると、やや「上滑りしている」ような印象もあるんですよね。もう、「作品」だけで「作家」を語れる時代じゃない。
 採り上げられている作家たちに興味がある人にとっては、かなり面白く読める「評論」であることはまちがいありません。ただ、これもあくまでも「ひとつのものの見方」でしかないことも事実なのですけど。

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