琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

はらたいらさん逝去

http://www.nikkansports.com/entertainment/p-et-tp0-20061111-115387.html

享年63歳というのは、今の日本の平均寿命を考えれば「早すぎる死」といえるでしょう。
僕は子供の頃『クイズダービー』を毎週観ていたのですが、あの番組でのはらたいらさんは、常に冷静に正解を書く人で、「はらたいらに賭ければ安心」だったんですよね。なんでも、正答率75%で、27問連続正解、という記録も持っていたのだとか。ただし、視聴者からみれば、はらたいらにばかり賭けている人はちょっとヘタレっぽく見えたもの事実なのですが。
しかし、「はらたいらさんに5000点」というのがみんなの「共通言語」になっていたというのは、たしかに、はらさんにとってはちょっと辛かったのではないかなあ、とも思います。「クイズダービー」で、あまりにも広く「博識の象徴」として認知されてしまったばかりに、ちょっとした周囲との雑談の中で「はらさん、こんなことも知らないんですか?」なんてイヤミったらしく言われたりしたことも多かったのではないかなあ。それにしても、僕自身も「クイズでの正解率が高い」というだけで、どうしてあんなにはらさんを「知識人」だと認めていたのだろうか。篠沢教授とか、「こんなにモノを知らない人でも『教授』になれるんだなあ」とか思ってたし。実際は「知ること」には広さと深さがあって、必ずしもそれは両立できるものではない、というのがわかったのは、だいぶオトナになってからのことでした。
「頭が良くみせる」ためには、「知識力」だけではなくて、「演出力」が大きいのかもしれません。いや、はらさんの場合は、番組側の都合が大きかったのだろうけど。そして、「マンガ家の社会的な地位向上」においては、手塚治虫先生と並んで貢献した人かもしれません。

好きなマンガで売れて、テレビ番組で人気者になって、辛い病気を克服して同世代にエールを贈り、好きなお酒も飲んで。

自宅に戻った妻ちず子さんは「主人は『不服はない。本望だ』と言っていました。63歳でしたが、十分生きられたと思います。最期は家族に囲まれて旅立ちました」と気丈に話した。

63年は少し短かったとしても、すごく「いい人生」だったのではないかと僕も感じました。
謹んで、御冥福をお祈りします。

子供の頃、僕もあなたのような「物識り」になりたいと、ずっと憧れていました。

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