琥珀色の戯言

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TVゲームの目指す遊びって?

TVゲームの目指す遊びって…(高橋名人公式BLOG『16連射のつぶやき』)
http://www.16shot.jp/blog/archives/2006/11/tv_2.html

↑のエントリのなかで、高橋名人は、このように書かれています。

さて、今日は、ちょっと私の意見を書かせてもらおうと思います。
Wiiのゲームですけど、とある雑誌では、私と違う意見でゲームの意見を述べているところがあります。
その意見は立派なのかもしれません。

確かにTVゲームとしての完成度だけに対して意見を言うことは、必要なのかもしれませんが、遊びのひとつとしてのTVゲームの意見は、もっとそのゲームを遊ぶ年齢や環境、そしてそのゲームが目指している遊びを考えなければいけないと思うのですよ。

今までにも、私は何回か言っていますが、いままでのゲーム業界が目指していたのは、ピラミッドの頂点であって、しかし実はもっと目指さなければいけないのは、ピラミッドの中腹から底辺に近いところにいるユーザーなのです。

テクニック重視のゲームも、もちろん必要かもしれませんが、そのピラミッドの中腹に居られる方にとって大事なのは、そのゲームが面白いという意見が直感的に出てくることだと思います
遊べるというのは、ゲームの完成度ではなく、それが直感的に遊べるかどうかだと思うのです

この記事は、『ファミ通』(エンターブレイン)に対するものなのではないかと巷間ささやかれているのですが(ただ、12/8号の『ファミ通』には、高橋「名人」就任記念インタビューも載っており、両者の関係が「一触即発」とか「ものすごく険悪」であるとも思えません)、少なくとも12/8号のハドソンWiiソフト(『ウイングアイランド』『コロリンパ』に対するクロスレビューの結果には、そんなに極端な印象は受けません。たしかに、『ウイング』21点、『コロリンパ』24点と、厳しい評価ではありますけど。
僕はこの名人の文章には深く頷いてしまうのですが、その一方で、いままでのハドソンの「商売っぷり」を考えると、正直「お前が言うか!」みたいな気持ちもあるんですよね。『チャンピオンシップロードランナー』をメディアで煽って「中腹」の人たちに売りさばいたり、マイコン創成期にはまさに「粗製濫造」の典型的なメーカーでしたしね(僕がX1を使っていた20数年前には、田舎のパソコンショップでは、「ハドソンのソフトしかすぐには取り寄せられない」ということで、何度もクソゲーをつかまされた思い出もありますし。
みんながクロスレビューに頼るようになってしまったのは、ハドソンバンダイ徳間書店とつるんで「メディア戦略」で酷いファミコンゲームを売りまくったという歴史があったからでもあるのです。そもそも「低年齢層向け」や「ビギナー向け」であるからといって、「完成度が低くてもいい」という理由はありますまい。『スーパーマリオ』にしても『テトリス』にしても『ボンバーマン』(PCエンジン版)にしても、「多くの人が楽しく遊べる」というのは、「完成度が高い」からに他なりません。
確かに、最近の『ファミ通』の傾向が「より最先端へ」向かっていることは否定できませんし、そういう一部の「豪華オープニングムービー」「人気俳優が声を担当」なんていうゲームに対して、少し甘めの評価がされているのではないか、という印象は僕にもあります。Wiiソフトのレビューでも、高得点だったゲームにシリーズものや続編が多かったのも事実です。でも、これだけロンチソフトが揃ってしまった状況では、「完成度」を語らないわけにもいかないし、雑誌としては、「ゲームの最先端」をとりあげないわけにもいかないと思うんですよね。例えば、車の雑誌では、その売り上げに比べたら、はるかにカローラヴィッツが語られることが少なく、多くのユーザーにはとが届かないヨーロッパの高級車がうやうやしく語られているのと同じです。「実際に買うもの」と「雑誌で読みたいもの」は、けっして同じではないわけで。もっとも、ゲームの場合は、価格にそんなに格差はありませんから、「最先端」でもなんでも、とりあえず手が届いてしまうものではあるんですけどね。ゲームの場合は、厳密に「棲み分け」ができているわけではなくて、「頂点」の人しか手を出さないゲーム(『ゼノギアス』とか『Killer7』とか『フロントミッション』とか)と、「頂点から中腹までのゲーム」(『ゼルダ』や『FF』)、「頂点から底辺までのゲーム」(『ポケモン』や『テトリス』『スーパーマリオ』)という分類のほうが、適切であるような気がするのです。
ただ、ゲーマーとしては、もう年をとりすぎてしまった僕の今のメインマシンはニンテンドーDSで、確かに「頂点向けのゲーム」は、もう必要ではなくなってきているような気もするのですよね。ただ、人数的には「底辺」の人が多くても、実際にお金を出してさまざまな新機軸のゲームを買っている人の大部分は「頂点」にいるのも事実です。『マリオ』と『ドラクエ』と『テトリス』だけで十分な人というのは、確実に存在しています。
そういう意味では、『ブルードラゴン』とかがどういう評価を受けるかは、僕も非常に興味があります。あのゲームって、結局のところ、「典型的なRPGをいかに修飾できるか」の頂点を目指したもののようにも感じますしね。

補足:僕は名人が「最先端ばかりを追ったためにダメになった」と感じておられるのは「RPG」だとばかり考えていたのですが、
コメント欄によると、

私が思う、先端を追う故にダメになったジャンルはシューティングです。

だそうです。『ブルードラゴン』も「出たら本体ごと買って遊んでみたい」と評価しておられます。確かに、最近のシューティングは人間ワザではクリア不能なようにしか見えないものなあ……

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