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琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

「3DダンジョンPRG」の歴史と復権

世界樹の迷宮Blog � 新納コラム6:もう一度1から
↑を読みながら、「ゲーム史における3DダンジョンRPGの歴史」を思い出していました。
 コンピューターゲームの世界における「3DダンジョンPRG」のルーツにして集大成は、なんといっても『Wizardry』で、1981年にアメリカのSir-Tech社からApple2用に発売されたこのゲームは、「3DダンジョンPRG」のみならず、『Ultima』と並んで、「RPG」というジャンルそのものを切り開いた傑作でした。ここでも何度か書いているのですが、『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さんは学生時代に『Wiz』にハマりまくっていて、『ポートピア連続殺人事件』のファミコン版のダンジョンには「もんすたあ さぷらいずど ゆう」という『Wizardry』の敵とのエンカウントのときに出る表示が「落書き」されています。
 そして、日本国内で、この「3DダンジョンPRG」の魅力を世に知らしめたのは、1984年に発売された、BPSの『ブラックオニキス』と、その続編の『ファイヤークリスタル』でした。当時の日本のマイコンの外部記憶装置はカセットテープが主流だった時代で、英語+高価なApple2+フロッピーディスクという『Wizardry』が「黎明期の日本のマイコンゲーマーたちの夢」だった時代に、この『ブラックオニキス』が日本語(しかもテープ版)で遊べる「3DダンジョンPRG」として当時のゲーマーたちに与えたインパクトは本当に大きなものだったのです。
 「3DダンジョンPRG」の歴史を語る際に、僕はここでちょっと考えこんでしまいました。もちろん、その後も「3DダンジョンPRG」というジャンルが完全に消滅することはないのですが、結局のところ、「3DダンジョンPRG」がコンピューターゲーム界で「主役」だったのは、この時期だけだったのかもしれません。
 その後も「3DダンジョンPRG」としては、海外では本家『Wizardry』の続編や『Might&Magic』シリーズなどが気を吐き、日本国内では『ファンタジアン』や、SF的なストーリーを取り入れた『ザ・スクリーマー』、ホラー調の『ラプラスの魔』、コンシューマーでもファミコンディスクシステムの『ディープダンジョン』、そして『女神転生シリーズ』などがヒットしてきましたが、RPGの主流は、「ウルティマ型」の「フィールド探索型」になっていきます。そして、「1つの巨大なダンジョンが『世界』であり、その奥に『ゴール』がある」というタイプの純粋な「3DダンジョンPRG」は、現在ではほとんど見られなくなりました。考えてみればそれも至極当然のことで、最初に「3DダンジョンPRG」が考え出されたひとつの理由というのは、当時のマイコン(そして、そのゲームを作る人々)には容量的な制約が厳しく、「ダンジョン」という「限定された世界」でないと描ききれなかったという面があったのです。
 「フィールド探索型」のRPGの魅力が「ストーリーを進めていくこと」「新しい世界を見つけること」であるのに対して、「3DダンジョンPRG」の面白さというのは、その世界のなかでのキャラクターの成長を愉しむという「システムに組み込まれる(あるいはそれを超える)喜び」でした。しかしながら、コンピューターの映像的な表現力が増すにつれ、見た目が寂しく、マッピングなどが必要で「作業的」になりがちな「3DダンジョンPRG」は、次第に衰退していきます。「ダンジョン」という概念そのものは「フィールド探索型」のアクセントとして残存しましたし、『ザナドゥ』のような「アクションRPG」を生むための土壌にもなったのですが。
 また、「限定された世界を徹底的に描ききる」というコンセプトの『ファンタシースター』や『ダンジョン・マスター』というゲームも発売されました。

 しかしながら、「3DダンジョンPRG」には、今までのところ『Wizardry』を超えるインパクトを持った作品は出ていないのです。結局のところ、「3DダンジョンPRG」の基幹となるのは「キャラクターの成長システム」であって、それは、『Wizardry』の時点で完成されていたからなのかもしれません。そして、僕が思うに、「3DダンジョンPRG」の楽しさ、「ゲームのシステム的な制約の中で最高の強さのキャラクターを作り上げる」あるいは、「迷宮の完璧な地図を完成させる」という行為って、「プログラミングの楽しさ」ひいては「コンピューターを扱う面白さ」にものすごく似ているのではないでしょうか。だから、初期のマイコンフリークたちは、「3DダンジョンPRG」に適応できる人の割合が高かったのだけれど、コンピューターの普及とともに増加してきた「ゲームだけできればいい」「メールとインターネットだけ」というようなライトユーザー層にとっては、「めんどくさいだけの面白くないゲーム」だと感じた人が多かったはずです。そう考えると、パソコンユーザーそのものがどんなに増えても、「3DダンジョンPRG」を好むような人たちは、もう、これ以上増える可能性はないのかもしれません。『ダービースタリオン』とか『俺の屍を越えてゆけ』のような「システムに組み込まれるタイプのゲーム」はけっして滅んだわけではないので、潜在的なニーズはけっこうあるのではないかという気もしますが、結局、「3DダンジョンPRG」にハマっていたような人たちは、もう、オンラインRPGに行っちゃってるのかなあ。
 『世界樹の迷宮』が、もっともライトユーザーが多いゲーム機であるニンテンドーDSでどんな評価をされるのか、僕はけっこう楽しみにしています。