- 作者: 池田秀一
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2006/12/21
- メディア: 単行本
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あの「シャア・アズナブル」の声優である池田秀一さんの半生記ということで、往年の『機動戦士ガンダム』ファンにとっては非常に興味深い本になっています。正直、後半の「Gacktちゃん」(…って、「ちゃん」づけはないだろいくらなんでも……)との交遊録などは、「有名人と友達なのを自慢している」みたいで「あんたシャアなんだから、そんなにヘラヘラすんなよ!」と言いたくもなるのですが、前半〜中盤の「声優になったきっかけ」とか「声優として注意していたこと」には、思わず唸らされてしまいました。
最終回の、シャアがアルテイシア(セイラ)に対して別れの言葉を告げるシーンで、シャアは「お前ももう大人だろ」と言います。
ここで大事なのは、「お前ももう」と表現しているところなのです。普通ならば「お前は大人だろ」でもいいんです。この「も」には、シャア自身も入っていると考えられるし、「もう」には「そろそろ」あるいは「いい加減に」という想いが込められています。自分もアルテイシアも、嫌でも大人になっており、それぞれに自分の進むべき道がある、もう昔には戻れないんだよと、諭すつもりで僕はこのシーンを演じています。
アルテイシアには、大人の女として大事な人と戦争以外の道を歩んで欲しい、彼の、兄としての想いを告げてきるんです。
シャア 「ここもだいぶ空気が薄くなってきた。アルテイシアは脱出しろ」
セイラ 「兄さんはどうするのです」
シャア 「ザビ家の人間はやはり許せぬとわかった。そのケリはつける」
セイラ 「兄さん!」
シャア 「お前ももう大人だろ、戦争も忘れろ。いい女になるのだな。アムロ君が呼んでいる」
セイラ 「アムロが?」
(『機動戦士ガンダム』第43話『脱出』より)
ああ、こうして引用しているだけで、また『機動戦士ガンダム』を観たくなってしまいました。なんて名作なんだ!
この「いい女になるのだな」って、カッコよかったよなあ。小学生時代、よくマネしたものです。何回練習しても、シャアみたいにはなれなかったけど……