元アイドル！　☆☆☆☆

作者: 吉田豪
出版社/メーカー: ワニマガジン社
発売日: 2005/05/25
メディア: 単行本
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内容（「MARC」データベースより）
杉浦幸、矢部美穂、いとうまい子、細川ふみえ、大沢逸美、安原麗子、吉井怜…。元アイドル達が語るあの極限な日々の悲喜交々。吉田豪が鋭く迫り、驚きの本音トークが炸裂。『アクションカメラ』『Chuッスペシャル』等掲載。

僕は子供〜学生時代は「読書＆マイコン少年」で、アイドルにウツツを抜かしているなんてバカじゃないの！なんて言いつつも『ベストテン』は欠かさずに観ていたという程度なのですが、ここに登場する「元アイドル」たちのほとんどは、「観たことがある」人たちです。ほとんどの人が３０代後半から４０代になっていて、今の写真を見るとそれなりに年輪を重ねているのですが、みんな歳を重ねても綺麗だよなあ。
「名手」吉田豪さんのインタビューは、さすが、というか思い入れを感じさせつつもポイントはキチンとおさえていて、かなりきわどいこともさらりと尋ねておられます。登場している「元アイドル」たちにも「こういうインタビューなのだ」という覚悟があるから、そして、「芸能人としては、ピークを過ぎている人たち」だからこそできた本なのかもしれませんが。
　この本を読んでいると、「アイドルってラクじゃないよな」とか「精神的に追い詰められている人にとって、『動物を飼う』っていうのが有効な場合は多いのだな」と感じます。そして、こんなエピソードも満載。

伊藤つかささんの回より。

（歌が下手だというのがコンプレックスで、歌番組に出るのが怖くなってしまった、という話に続いて）
伊藤つかさ：それで、「歌番組だけは絶対に嫌です」って事務所とレコード会社さんに言って。でも、そんなのどうすることもできないじゃないですか。じゃあ、まだ１５歳ぐらいだったので、当時の歌番組は生放送でしたから労働基準法っていうのを理由にしたら夜の番組は出なくても大丈夫っていうことを知って……。
吉田豪：つまり。中学生が夜の番組に出られなくなったのが伊藤さんのせい、と。
伊藤：私のせいでホントに申し訳ないですが（笑）。とにかく歌を人前で披露することが、恥ずかしくてしょうがなかったんですね。声を聴くのさえ嫌で、自分のアルバムもまったく聴かなかったんです。

あの「労働基準法で出演できない」というのは、伊藤つかささんがルーツだったんですね……『少女人形』すごく恥ずかしそうに歌っているのが、すごく「萌え」だったんだけどなあ。

いとうまい子さんの回より。

いとうまい子：前貼りも経験しましたよ、『愛しのハーフ・ムーン』って映画で。ある日、撮影所に行ったら前貼りを渡されたの。「なんですか、これ？」って言ったら、「今日は脱いでもらうから」って。「ちょっと待ってください。そんなのあり得ないですから」って言ったら、大道具さんとか照明さん、みんな地べた座っちゃって、「お前がやんなきゃ始まんねえんだよ！」みたいな感じで。しょうがないから脱いだんです。もう二度とやりませんけどね。
吉田：つまり、事前に一切聞いてなかったんですか？
いとう：うん。で、社長にすぐ文句言ったら「脱げないんだったら女優じゃないよ」って言われて。要するに、脱ぐっていう契約で事務所はＯＫ出してたんですけど、私だけが何も知らされてなかったっていう。

実は、この本には、このような「無理矢理脱がされた話」がたくさんあって、アイドル、とくに人気が落ちてきたときのアイドルに対する事務所の扱いの酷さが切実に伝わってきます。逆に、伊藤つかささんとか八木小織さんのような、「無理矢理脱がされたのではないか」という感じの人たちが「自分で企画して」ヌード写真集を出していたりもするので、人間って見かけだけではわからないよなあ、とか考えさせられましたけど。

あと、八木小織さんの回で、吉田さんが、こんな「南野陽子伝説」を！

吉田：まあ、南野陽子さんには伝説が多いですからね。
八木小織：一緒にロケとか行くと可愛がってもらいましたよ。いい先輩だし綺麗で。ただ、変わってる人だとか気が強いとかっていう話はよく聞きましたね。でも、私に直接何かあったわけではなくて。
吉田：イベントで他のアイドルの方が声援が多いと、控え室で椅子を投げたり、親衛隊を呼び出して説教したりしてたっていう評判の人なんですけどね（笑）。

この『元アイドル！』だったかどうかは記憶にないのですが、吉田さんが南野陽子さんにインタビューしたものは、あまりに過激だったために「お蔵入り」しているという伝説があるのです。ぜひ一度それを読んでみたい！

ちなみに、もうすぐ第二弾が出るみたいです。