琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

虹の女神 ☆☆☆☆

花とアリス』の岩井俊二がプロデュースを手掛け、市原隼人上野樹里主演で贈る青春ラブストーリー。映像製作会社で働く智也は、ある日、大学時代の友人・あおいが飛行機事故で亡くなったことを知り…。監督は『ニライカナイからの手紙』の熊澤尚人

 ああ、そういえばこんな映画あったよなあ。映画館で予告編観たことがあるような気がする。上野樹里蒼井優が出てるし、とりあえず観てみようかな……


 ……ごめん、ほんとごめん。なんでこの映画ノーマークだったんだろう。というか、上野樹里さんが凄すぎます。
 まだ20歳だったと思うけど、なんなんだこの神女優っぷりは……
 正直、ストーリーはベタベタもいいところだし、安易に人が死んでしまうことによって泣かせる話って僕は嫌いなんだけれども(だから☆4つに減らしました)、にもかかわらず、思わず引き込まれてしまう作品でした。
 いや、観てて「お前そんな女どもより、あおいの方が1億倍くらい良いだろ!」と智也に説教してしまいたくなってくるのですが、でも、20歳代前半くらいまでの恋愛って、他人の目で見れば、みんなこんな感じなのかもしれません。自分も相手のことが好きだし、相手も好意を持っていてくれるのは間違いないはずなのだけれども、なんとなく「踏み込めない」というか……
 ずっと自分の夢を追いかけてきた人に、「あなたが必要としてくれるのなら、私は夢をあきらめてあなたの傍にいるよ」と言われたとき、それを「受け止める覚悟をする」って、とくに20代くらいでは、なかなか難しいものだと思うのです。「夢をあきらめちゃダメだよ」って、「相手のためを考えて」言ってしまうのはよくわかります。それが「優しさ」なのか「優柔不断さ」なのかは難しいところだけれど。でも、この二人に、あともう少しだけ「大人」になるための時間があったならば、ハッピー・エンドになっていたかもしれなかったのに。

 観始めて最初1時間くらいは、「どうしてこんなストーカー男のことを好きになったんだ?」と疑問でしょうがなかったのです。でも、観終えてわかりました。そんなの「どうして?」って聞かれてもわからないというか「好きになっちゃったんだからどうしようもない」としか言いようがない。恋愛って、たぶんそういうものなんだよね。人って、「正解」が頭ではわかっているのに、現実にはそれをなかなか選べない。そして、わざと「間違った答え」を選んでみたりもしてしまう。この映画での上野樹里さんと市原隼人さんからは、そういう「どうしようもなさ」がリアルすぎるくらいリアルに伝わってくるのです。上野さん、ほんとに20歳なの?って驚きますよ絶対。蒼井優さんも、相変わらずの存在感。

 設定とかストーリー展開とかにはのりきれないところもあるのですが、それでも、『のだめカンタービレ』『スウィングガールズ』でしか上野樹里さんを知らない人には、ぜひ観ていただきたい作品です。

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