http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20070507k0000e060023000c.html
67歳で小説家を志し、92年から小説を書き始めた。第1作の「四十七人の刺客」で93年新田次郎賞。「四十七人目の浪士」「高杉晋作」「遁(に)げろ家康」など次々と発表し、斬新な歴史認識で人気作家となった。99年「島津奔(はし)る」で柴田錬三郎賞。本紙でも98〜99年「本能寺」を連載した。
一方で「遁げろ家康」「島津奔る」の記述が司馬遼太郎さんの作品に類似していると指摘され、絶版、回収する騒ぎがあった。
歴史小説の作家としてはかなり斬新な作風というイメージがあり、まだお若いのだろうと思っていたのですが、もう83歳になっておられたのですね。60代後半でデビューしたときの作品が、あの『四十七人の刺客』だったのか……
『四十七人の刺客』は、これまで「情」を中心に語られることが多かった「忠臣蔵」を経済的な面を中心に(要するに「お家断絶」の状態で、大石内蔵助たちはどうやって生計を立て、討ち入りの費用を捻出したのか?という話が詳細に描かれているのです)描いた斬新な小説で、これは凄い「歴史小説だな」と感心したことをよく覚えています。司馬遼太郎さんの作品の「盗作騒動」によって、作家としての後半生はかなり評価を下げてしまった印象がありますが、池宮さんが歴史小説というジャンルに与えた影響は、けっして少なくないと思います。
謹んで、御冥福をお祈りします。
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