琥珀色の戯言

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あおい ☆☆

あおい (小学館文庫)

あおい (小学館文庫)

 『さくら』で一躍ブレイクした西加奈子さんのデビュー作。

 26才スナック勤務の「あたし」と、おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下のダメ系学生風間くんと、ペット亀の「バタ」のほわほわ脱力気味の同棲生活から一転、あたしはリセットボタンを押すように、気がつけばひとり深夜長野の森にいた。人っ子一人いない、真っ暗闇の世界のなかで、自分のちっぽけな存在を消そうと幽体離脱を試みたり、すべてと対峙するかのように大の字になって寝っころんだりしていたあたしの目に、ふと飛び込んできたうす青色の野生の花。その瞬間、彼女のなかでなにかが氷解した――。ゆるゆるなのにギリギリなデイズ。そこで見つけた、ちっぽけな奇蹟。あンたのことが好きすぎるのよ。 今世紀の女子文学に愛の一閃を穿つデビュー作。

 僕がこの作品で「面白いな」と思えたのは、幽体離脱を試みるシーンだけでした。というか、もう読み飽きたよ「今世紀の女子文学」。
 解説を山崎ナオコーラさんが書いておられるのですけど、

 率直。
 見たまんま。
 フィルター外し。
『あおい』を読んで、私が感じたことである。
「見るものを、見える通りに感じ、それを発表する」。まさに、芸術の仕事だ。

 山崎さんは西さんと仲良しだそうなのですが、おんなじような「若い女性のフィルター外し小説」を二人で書いて「あなたはすごいわねえ!」なんて馴れ合ってるんじゃないの?と僕は思ってしまいましたよ。少なくとも、僕はこういう「ダメな若い女性を描いた小説」はもう飽き飽きです。最近、「なんであんなにベタベタな瀬尾まいこさんの作品が人気あるんだろう?」と悩んでいたのですが、最近の女性作家のなかでは、瀬尾さんのほうがむしろ「異質」であったり「オリジナリティがある」のだな、ということがようやくわかってきました。少なくとも、瀬尾さんのほうが「物語」を書こうという意識はあると思います。というか、あなたたちの「見るもの」「感じること」って、エロばっかりなんですか? なんだか、この手の女性作家の小説群よりも、いわゆる「ライトノベル」のほうが、よっぽど「小説」らしいのではないかと僕には思えてなりません。
 彼女たちと恩田陸さんや三浦しをんさんの間には、日本海溝くらいの深い溝があるんじゃないかなあ。

 ただ、ひとつだけすごいなと思ったのは、少なくとも西加奈子さんという作家は、この『あおい』よりも『さくら』のほうが、数段「面白い小説」だということなんですよね。作家で、デビュー作より次の作品のほうが圧倒的に面白くなる人っていうのはけっこう少ないですから、かなり将来性はある人なのかもしれません。

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