琥珀色の戯言

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日本美術の歴史 ☆☆☆☆

日本美術の歴史

日本美術の歴史

 紀伊国屋に「オススメ本」として並んでいたのを発見し、思わず衝動買いしてしまいました。

「かざり」「あそび」「アニミズム」をキーワードとして、絵画、彫刻、工芸、考古、建築、庭園、書、写真、デザインなどの多分野にまたがる日本美術の流れを、縄文から現代までたどる。

 なんて「内容紹介」を読んでもいまひとつピンとこないかもしれませんが、とにかく、土器の時代から宮崎アニメまで、「日本の美術品」を時間軸に沿って幅広く写真入りで紹介している本なのです。480ページものボリュームがあり、僕もまだところどころパラパラとめくっただけなのですが、これだけの大作が税込み2940円というのは、非常に良心的なのではないかなあ、と。
 僕は美術館が大好きで、日本や海外で有名画家の作品展に行くことも多いのです。でも、海外の美術館めぐりをしていると、印象派の部屋に人々が群がっている一方で、日本美術のコーナーはどこも閑散としているんですよね。日本人観光客の多くも「日本の美術品」には見向きもしません。
 イタリアでダ・ヴィンチミケランジェロの作品に感動しながらも、「僕は日本人なのに、日本の美術のことを知らなさすぎる」というようなことを、ずっと考えていたのです。イタリア人に「日本に行ったら見ておくべき作品は何?」と問われたとき、僕はそれに自信を持って答えられるだろうか?と。
 そんなときにこの本を見つけました。
 正直、著者の辻さんの主張が強すぎるんじゃないか、と思えるところもありますし、本格的に美術史を学びたい人にとっては、1冊にまとめられているというのは「いいかげんすぎる」のかもしれません。でも、ほとんどの作品の写真がカラーで収録されていてこの価格はかなりお得です。写真だけ見ているだけでも、日本の美術品もなかなか凄いなあ、と感心してしまいます。せっかく日本に生まれたのですから、ルーブルやオルセーやフィレンツェに行かなくてもこんなにすごい作品を日本で見ることができるというのを知っておくのはけっこう有意義なのではないかと思うんですよね。

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