琥珀色の戯言

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職業としてのプロ野球解説者 ☆☆

職業としてのプロ野球解説者 (サンガ新書)

職業としてのプロ野球解説者 (サンガ新書)

 うーん、この人がこのテーマで本を書けば、もっと面白いはずなのに……と正直がっかりしてしまいました。
 江本さんも、人間丸くなってしまったのだろうか……
 もっといろんな解説者の具体的なエピソードが書かれているとか、「良い解説をするための江本さんの工夫」みたいなものが述べられているはずだと思っていたのですが、なんとなく「年寄りの自慢っぽい経験談」みたいになってしまっているんですよね。ボイストレーニングに行っていた、なんて話は、いかにも、と思わされますけど。
 まあ、江本さんももう還暦だものなあ。

(江本さん自身の「ベンチがアホやから」発言がきっかけとなっての引退は)いま考えると、野球に対する集中力を失いかけていた僕にとっては、いい潮時だったのかもしれない。だからなぜ、桑田があそこまで投げたがるのかがわからない。敗戦処理などで1イニング投げただけなのに、満足したとコメントする。実際にピッチャーを経験した人間はそんな彼を冷ややかに見ているところもあるがmメディアがあおるせいもあって、当の桑田はまるでヒーローのようだ。見る人が面白いと感じるならそれもいい。
 ただ、ピッチャー経験者のなかにはもっと違うプライドがあって、こんなことが世間に通用していいのか、プロ野球をこんなレベルにしていいのか、と思う人間もいる。「ファンのために」と、長年球界に尽くしたことに対するご褒美だと言われればそれまでだが。

 僕も桑田投手の「メジャー挑戦という美談」には、なんだかしっくりこないものを感じているのです。たとえば、僕が贔屓にしている広島カープにやってきた外国人投手が、登板するたびに打たれまくった挙句にクビになり、「日本でいい経験ができた。カープには感謝している」という言葉を残して去っていったとしたら、正直「うちのチームは『真剣勝負』をしているのであって、お前の修行の場じゃねえんだよ!」って毒づくと思います。勝負の世界に生きる人間なら、クビになったときの言葉は、「ありがとう」じゃなくて、「結果を残せなくて悔しい」のはずではないかと。パイレーツは桑田にすごくよくしてくれたみたいですけど、パイレーツのファンはどんな気持ちで、この「日本から来たオールド・ルーキー」を見ていたのでしょうか。「なんでまたアイツを投げさせるんだ……」と呆れることもなく、本当に心の底から応援していたのだとしたら、メジャーリーグのファンっていうのは、なんて温かい人たちなのだろう!

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