琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

一生に二度も「奇跡」を観られるとは!

ミラクル佐賀北が初優勝/夏の甲子園

 OGのid:kuri2さん、おめでとうございます!

 13年前の夏、佐賀商業が優勝したときは、まさに「神がかり」としか思えませんでした。佐賀商業というのは「佐賀県では甲子園の常連の名門校」ではあったのですが、甲子園に出れば「ひとつ勝てれば御の字」というくらいだったのに。
 あのとき実習で佐賀に来ていた僕は、正直「これで患者さんとの会話のネタに困らなくてすむな」とすごくうれしかったのをよく覚えています。実際、その夏の実習中は、佐賀商業が、何度口下手な僕にとっての「会話の糸口」になってくれたことか!
 でもまあ、あれは二度と起こるはずのない、「ひと夏の奇跡」だったはずなのに。

 今日の昼下がり、気になって仕事の合間に高校野球中継をチラチラと眺めていたのですが、思わず目を伏せたくなるようなシーンの連続。守備は毎回ピンチ、攻撃では7回までわずか1安打。甲子園常連校であり、プロにも選手を多数輩出している名門・広陵の力をまざまさと見せつけられる展開でした。
 フラフラになりながら、なんとかリングに立ち続けているボクサーの姿を観ているようで、この試合をずっとテレビの前で観ていたら、いたたまれないだろうなあ、という感じ。「それでもなんとか僅差の試合になっているんだから、たいしたものだ」とか「なんとか1点でも取らしてあげたいなあ」というのが、せめてもの「希望」だったのです。

 ひとつの仕事を終えて、僕が階段を上がって自分の病棟に行くと、病院中から「ワーーーッ」という大歓声と拍手が。
 ああ、1点返したんだな、よかった……

 ところが、病棟のテレビにかじりついている人たちの隙間からスコアを観て、本当に驚いてしまいました。
 4対5? 逆転??

 満塁ホームランのシーンはリアルタイムでは観ていないのですが、病院中が湧き上がったかのような歓声が、まだ耳に残っています。

 それにしても、この「優勝」は、信じられないような偉業だとしか言いようがありません。
 佐賀北高校っていうのは、僕の知るかぎりでは、本当に「どこの町にでもある、普通の公立高校」なんですよ。
 もちろん、「野球エリート」たちが越境入学してくるような野球の名門校ではありません。
 平均値より少し勉強やスポーツができるくらいの地元の中学生たちが入ってくる、そんな「ありふれた高校」です。
 でも、そんな高校が、高校野球で「日本一」になった。これってまさに「奇跡」としか思えません。
 僕も知っている、あの「北高」が、あの甲子園で優勝するなんて。
 お隣の息子さんがいきなり金メダル獲ったようなものですよ、ほんと。
 帝京や広陵と試合をしても、北高が勝てるのは、たぶん「10回に1回」もないくらい確率のはず。そもそも、「練習試合を申し込んでも『相手にならないから』と断られるくらい」だったのではないでしょうか。
 今回は引き立て役になってしまった帝京や広陵の選手たちには気の毒なのだけれども、僕は「ごく普通の田舎の公立高校」が甲子園で優勝するなんていうのは、本当に「奇跡」だとしか思えません。「名門校という名のプロチーム」がしのぎをけずっているのが、今の甲子園だったのに。

 一生のうちに「奇跡」を2度も観られるなんて、と感じた一日でした。
 たぶん、あの瞬間に病院で歓声をあげていた人の多くは、少なくともあの瞬間、「いろいろあっても、いま、生きててよかった!」って思ってくれたはずです。
 ああいう「生きる力」って、医者には絶対に与えられないものなんですよね。

 ありがとう、佐賀北高校の選手たち。まだまだ世の中には面白いこともあるんだな、と僕も勇気づけられました。
 

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