琥珀色の戯言

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イニシエーション・ラブ ☆☆☆☆


イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

出版社 / 著者からの内容紹介
僕がマユに出会ったのは代打で出た合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて……。「必ず2回読みたくなる」と評された驚愕のミステリー

 正直、何を書いてもネタバレになってしまいそうな本なので、あまり内容には触れずに書きます。
 僕はこの「どんでん返し」には、ものすごく驚きはしなかったけれど、事前に完全に理解していたわけでもなく、「ああなるほどね」という感じだったのです。
 でも、ミステリ的な良し悪しということにこだわらなければ、すごく「面白い」し、「作者に拍手したくなる」本だと思います。

 こういう本って、売り方が難しいですよね本当に。
 本のオビなどに「最後に驚愕の大どんでん返しが!」なんて書かれていると、やっぱり「どんな『どんでん返し』なのだろう?」と興味を持ってしまうのですが、一方で、映画『パーフェクト・ストレンジャー』

ラスト7分11秒。あなたは絶対騙される。

のように、「そこまでは、何が起こっても信用できないのだな」と観客、あるいは読者は身構えてしまうわけです。
たとえば、この『イニシエーション・ラブ』を「ごく普通のラブストーリー」として読み始め、そして読み進めていれば、この「どんでん返し」のインパクトは、もっと強烈だったはず。
しかしながら、それじゃあ「売れない」でしょうしねえ。

イニシエーション・ラブ』の場合は、その「ミステリとしての意外性」を取り除いても、「男女の愛憎劇」として読めるとは思うんですよね。僕ぐらいの年になると、『イニシエーション・ラブ』という言葉の意味も、実感としてわかるような気がしますし(それが「正しいこと」かどうかは別として)。

 ただ、この作品、僕みたいな恋愛経験に乏しい男子には面白かったのですが、「『週刊プレイボーイ』に掲載されているエロ体験談風の性的描写(童貞風)」がけっこうダラダラと続くので、「何このコバルト文庫みたいなプチエロ青春小説!」と、嫌気がさしてしまう読者も多いのではないかと。全部読んで、あらためて面白さがわかる話なのですが、こういう描写や文体がダメな人には読み終えるのは苦行ですよね、きっと。買って読もうと思っている人は、冒頭の「ナルオカマユコ」の登場シーンくらいまでは立ち読みしてからのほうが良さそうです。

 あと、僕は30余年生きておりますが、世の中には積極的にアプローチしてくる女性がこんなにいるのか!と、驚いてしまいました。

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