琥珀色の戯言

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ちゃぶニチュード!―日本全国マズイ店列伝


ちゃぶニチュード!―日本全国マズイ店列伝 (幻冬舎文庫)

ちゃぶニチュード!―日本全国マズイ店列伝 (幻冬舎文庫)

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
レモンチューハイにウーロン茶を入れて「ウーロンハイ」と名乗る店。芽が出た新ジャガと酸っぱい肉豆腐を平気な顔で出す居酒屋。真っ黒こげピザに若者が行列する人気イタリアン…。どうしようもなくマズイ店に遭遇する衝撃は、極上の旨い店にぶつかる喜びと等価だと豪語する著者が、日本全国を歩き綴った抱腹絶倒!怒涛の食レポート。

 僕はけっこう「マズイ店」の話を読むのが好きで、この本も最初の3分の1くらいはものすごく楽しく読めました。
(もちろん、「マズイ店」に行って自分が食べるのは、全然好きじゃないんですけど)
 ちょっと前にテレビでみのもんたがやっていた『愛の貧乏脱出作戦』も、毎週観ていましたし。あの番組、多くの視聴者は「達人のワザ」に感心していたのかもしれませんが、僕にとっては、「世の中には、こんなにヒドイ店や経営者がいるのか……」というのを観て、まだ自分のほうがマシだと、なんとなく心の平安を得ていたようなところもあったのです。小さい人間だと言われればそれまでなんですが……

 ところで、どうして後半はあまり面白くなかったのかというと、この本、世間の「ひどい店(味とか雰囲気とか接客態度とか)」について、かなり丁寧に書かれているのですが、途中から少しずつ筆者の評価が「甘く」なってきてしまっているように感じられたのです。それに、悪口って、一度に読むとけっこう疲れるんですよね。「ダメな店」の「ダメな要素」って、「味」「雰囲気」「値段」に大別されてしまって、オリジナリティが発揮しにくい面はありそうですし。
 「おいしい店」の話であれば、語り口がワンパターンでも「この店にいつか行ってみよう」という、情報としての価値を感じられるですが、店名が伏せられている「まずい店」の話だと、あまり続くと「まあ、自分には関係ない話だし、役にも立たないし……」というふうにしか思えなくなってくるのです。
 『恨ミシュラン』みたいに「褒めるときは褒めるし、けなすときはけなす」というスタンスだと、「今度の店はどんな評価をされるのだろう?」という楽しみもあるのですが、この本の場合「いかにけなすか」の勝負ですしね。

 世の中には、こんなひどい店もあるのか……と驚かされますし、語り口もなかなか面白いのですが、その一方で、「けなすことを前提とした体験レポートというのは、けっこう難しいものなのだな……」と実感させてくれる本でもありました。
 あまり一度に読まずに、トイレで1話ずつ読むようにすると、ちょうど良いのかもしれません。


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