琥珀色の戯言

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徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話 ☆☆☆☆


徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話 (文春文庫)

徳川家に伝わる徳川四百年の内緒話 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
貯めた金で城の床が抜けた家康、美少年好きの家光、カラスを島流しにした綱吉、泣く泣くあきらめた吉宗の恋、大奥から嫌われた慶喜、日本で最初にラーメンを食べた水戸黄門など、徳川御三卿の一つ「田安徳川家」第十一代当主が徳川幕府にまつわる「面白い話」「へえーな話」を収集。一族だからこそ知りえた秘密も明らかに。

 田安徳川家の十一代当主である著者・徳川宗英さんが書かれた、「歴代将軍および徳川家のウラ話」。同じような本がたくさん出ているので、歴史マニアにとっては、「その話はもう知ってるよ」というネタが多いのかもしれませんが、僕はけっこう楽しめました。「子孫として先祖を語る」というのは、なかなか難しい面もあるのでしょうが、著者は「盲目的に『ご先祖様偉い!』と賞賛している」わけでもなく、露悪的に悪いところ、困ったところをあげつらっているわけでもなく、かなりバランス感覚に優れた人なのだろうなあ、と。
 この本を読んでみると、「征夷大将軍」というのは、少なくとも江戸時代においては、「傑物」ばかりではなかった、ということがよくわかります。というか、「すごい人」だったのは、初代・家康と八代・吉宗くらいで、あとの人は、「ごく普通の人」あるいは、「それなりに才能はあるけれど、ちょっとおかしな人」だったりするんですよね。
 そして、この本のなかでは、15人の将軍のうち4人に「暗殺の疑いあり」と書かれているのですが、それまでの日本史における「幕府」(鎌倉時代室町時代)での「将軍という地位の不安定さ」を考えると、江戸時代というのは、本当に安定した時代だったのだなあ、と思います。大きな内乱もなく、将軍が無能でも、その地位が脅かされることは250年くらいなかったわけですから。
 こういう「平和な時代」をつくり上げた「システム」には、学ぶべきところが多いのかもしれません。
 まあ、徹底した身分制度とか苛烈な収奪によって、その「システム」が支えられていたというのも「史実」ではあるのでしょうが。

 僕はこの本で語られている個々の人物のエピソードよりも、以下のような話のほうに興味がありました。

(二代将軍秀忠の正室・お江与について)

 お江与は、前の結婚でも二人の子を産んでいる。
 しかも、歴代将軍のなかで、将軍の正妻が世継ぎを産んだのは、このお江与ただ一人である。家光以外の将軍はすべて、側室から生まれたか、他家から養子として入ってきた。

(五代綱吉、十代家治、十三代家定、十四代家茂の「暗殺説」について)

 これらがもし事実なら、十五分の四の確率で暗殺が実行されたことになる。
 だが、それはそんなに驚くべきことだろうか。世界中、どこにでもあった話であり、職業別でいちばん寿命が短いのは、王や将軍などの国家元首だそうだ。
 彼らは暗殺だけでなく、戦争や革命でも、命を失う危機に瀕することはしばしばである。これら四人の将軍暗殺の噂には、おそらく単なる推測も混じってはいるだろうが、たとえ真実であってもなんの不思議もないだろう。

 いやほんと、「権力者」というのは好き勝手なことができて羨ましい、なんて思うのですが、権力を維持したまま血統を繋いでいくというのも、なかなか大変なことなのだなあ、と考えさせられる話です。

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