琥珀色の戯言

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ミッドナイト イーグル ☆☆☆


戦場カメラマンとして活躍していた西崎は、現実に傷つき、また病気の妻を顧みずに死なせてしまった事を悔やむ日々を送っていた。ある夜、冬の山中で西崎は空を飛ぶ赤い光を撮影する。それは北アルプスに落下していく米軍のステルス爆撃機だった。すぐに自衛隊の特殊部隊が送り込まれた。ステルスには「特殊爆弾」が搭載されていた。一方、西崎も後輩の新聞記者と共に墜落現場へ向かう。しかし予想外の難関が彼らを待ち受けていた。

 この映画を観ていると、「ああ、制作側は、『雪山で数人の男達が強大な敵と戦うハードなアクション映画』を作りたかったのだな」というのがよくわかります。それと同時に、日本を舞台にしてそういう舞台装置をつくり上げることの難しさも、ものすごく伝わってくるんですよね。ただ、この映画、お金はけっこうかかっているはずなのに、あんまり見せ方がうまくない。
 題名が『ミッドナイト イーグル』なので、『トップガン』みたいな空戦モノなのかな、と一瞬思うじゃないですか。いや、そうじゃないことは宣伝やDVDのパッケージを見ればわかるんですけど、それにしても、タイトルと内容が乖離しすぎているというのは、観る側としては、なんだかなあ、予算なかったのかよ……と。イーグルは単なる「置物」だし、アクションも銃器を使って「顔の見えない敵」と戦っているので、そんなに見ごたえはありません。
 最後のほうは、お決まりの「感動的な自己犠牲」になっていくのですが、それも、「お前らそもそも功名心で雪山に突撃していって、巻き込まれただけじゃねえか……」という感じなんですよね。彼が「傷ついた戦場カメラマン」という設定も全然うまく生かせてませんし。
 あのリメイク版『日本沈没』を雪山でやったらこうなりました、という映画なんですよねこれ。
 頑なな演技だけしかさせてもらえない竹内結子さんも、この役にはちょっと合ってないしなあ。

 ゴレンジャーの秘密基地みたいな対策本部、ヘタすれば周辺は絶滅してしまうのだから、全滅覚悟でも突入すべきシチュエーションで「危ないので」引き返してしまう自衛隊。「本当にそんなことして大丈夫なのか?」と思うような解決法。

 まあ、前半はかったるいものの後半はそれなりに盛り上がりますし、DVDを借りて観るのであれば、腹を立てるほど最低の映画じゃないんですけどね。

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