琥珀色の戯言

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ララピポ ☆☆☆


ララピポ (幻冬舎文庫)

ララピポ (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
対人恐怖症のフリーライター、杉山博(32歳)。NO!と言えないカラオケBOX店員、青柳光一(26歳)。AV・風俗専門のスカウトマン、栗野健治(23歳)。文芸コンプレックスの官能小説家、西郷寺敬次郎(52歳)。専業主婦にして一応AV女優、佐藤良枝(43歳)。デブ専裏DVD女優のテープリライター、玉木小百合(28歳)。選りすぐりの負け犬たち、ここに集合。最新爆笑小説。

 この小説、まさに奥田英朗版『陰日向に咲く』という感じでした。
 劇団ひとりさんは「社会で生きる負け犬」たちを、「笑いと哀愁」で描いているのですが、奥田さんは彼らの「性欲とちっぽけなプライド、そして『リセットしたい気持ち』」を赤裸々に描いており、それはものすごく「リアル」であるのと同時に、読み手である僕にとっては「うわーこんなの読みたくねえ……」という内容でもありました。
 ↑の「内容紹介」には、「最新爆笑小説」なんて書かれていますが、僕はこの小説のどこで笑っていいのか全然わかりませんでした。痛々しくて読むのやめようかな、とは何度も思ったのだけれども。
 この作品には、「世の中にはこんなにたくさんの人間がいて、そのなかで『他人に自慢できる人生』をおくっている人なんてほんの一握りにすぎないのだ」というのを感じさせてくれる切実さがありますし、「それでも、開き直って(あるいは流されて)生きていくしかないのだ」と元気づけられる力もあります。
 でも、なんというか……僕はちょっとこのひたすら「性」にこだわっている舞台設定が好きになれないんですよね。よくここまでやったなあ、とは思うし、『陰日向に咲く』よりも、「プロらしい小説」とは感じるけれど、あまりにクールに描かれすぎていて登場人物に愛着がわかない。
 同じ「負け犬小説」ならば、『陰日向に咲く』のほうが僕は好きです。

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