琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

「表現すること」


確かに「表現すること」には誰かを傷つけるリスクがある。
「子供ができた」と書いただけで、「子供ができない人のことを考えてみろ!」と批判されることだってあるし、「台風が逸れてくれてよかった!」と書いただけで、その逸れた台風が直撃した地方の人は腹を立てるかもしれない。
それを自覚することは、「表現しようとする人」が「表現する喜び」の代償に覚悟しなければならない「痛み」だと思う。

でもね、「表現」がそういう性質のものであるからといって、「表現」を錦の御旗にして、「自分が他人を傷つけること」を正当化することは「傲慢」というか、「表現」というものをバカにしているとしか感じられない。
自分が書きたいこと、書かずにはいられなかったことを「表現」してしまった結果、それが(自分も含めた)誰かを傷つけることと、単なる誹謗中傷を並べているだけなのに、責められたり批判されたりしたときのために、「表現だから何書いてもいいんだろ!」と予防線を張っておくことは全然違うよ。
前者は愚かだが、後者は卑怯だ。
前者にとっての「表現」は「業」で、後者にとっては「便利な道具」だ。

僕は愚か者かもしれないけど、卑怯者にはなりたくない。

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