琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

TENGU ☆☆☆☆


Tengu―長編推理小説 (祥伝社文庫 し 8-4)

Tengu―長編推理小説 (祥伝社文庫 し 8-4)

TENGU

TENGU

出版社 / 著者からの内容紹介
凄絶なミステリー
類(たぐ)い希(まれ)な恋愛小説
第9回 大藪春彦賞受賞作
26年前の捜査資料と、中央通信の道平(みちひら)記者は対面した。凄惨(せいさん)きわまりない他殺体の写真。そして、唯一の犯人の物証である体毛。当時はまだなかったDNA鑑定を行なうと意外な事実が……。1974年秋、群馬県の寒村を襲った連続殺人事件は、いったい何者の仕業(しわざ)だったのか? 70年代の世界情勢が絡む壮大なスケールで、圧倒的評価を得て大藪春彦賞に輝いた傑作。

おお、「大藪春彦賞」受賞作なのか……と思いつつ購入。
山奥の寒村で起こった猟奇的な事件を描いた作品で、横溝正史を彷彿とさせる濃密で背徳的な閉じた社会での人間関係が描かれています。ちょっと『クライマーズ・ハイ』のような「メディアの裏側」のエピソードもあり。
「この大風呂敷、いったいどうやって収束させるのだろう……」とワクワクしながら読み進めることができたのですが、ラストはちょっと腰砕けというか、「そのオチは正直、『意外』と『荒唐無稽』のギリギリのラインというか、これ、もっとハードボイルドな小説じゃなかったの?」と言いたくなるような展開でした。最後のほうはなぜか突然すべてがうまくいってしまうというか、「答え」のほうから主人公のほうにやってくるというのもなんだか御都合主義すぎるように思えましたし。
これは「社会派ミステリー」っていうよりは、思いついたオカルトネタに「社会派のフレーバー」を加えた作品だよなあ……

とりあえず、「ネタ」としてはけっこう面白い小説です。僕も2日間で読み終えましたし。

アクセスカウンター