琥珀色の戯言

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ハッピーフライト ☆☆☆☆☆


ハッピーフライト スタンダードクラス・エディション [DVD]

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あらすじ: 副操縦士の鈴木(田辺誠一)は、機長昇格の最終訓練である乗客を乗せて飛ぶ実地試験でホノルルに向けて飛び立つことになる。彼は試験教官として同乗する威圧感たっぷりの機長の原田(時任三郎)を前に緊張感を募らせていた。そんな中、キャビンアテンダントの斎藤(綾瀬はるか)は夢にまで見た国際線フライトに臨み、緊張感がピークに達していた。(シネマトゥデイ

後悔から1週間目の金曜日のレイトショーで、観客は20〜30人。まずまず、といったところ。けっこう観客の反応はよかったです。

この映画の内容をごく簡潔に書くと、「飛行機っていうのは、こんなにたくさんの人たちの頑張りで、毎日安全かつ快適に飛んでいるんだよー!」。
それ以上でも、それ以下でもありません。
でも、それがこの映画をすごく楽しい作品にしているのだと思います。

同じ矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』が「努力・友情・勝利」!というような『週刊少年ジャンプ』の世界観であるのと比べると、良くも悪くも「大人がお金を稼ぐために働くこと」の辛さと喜びというエッセンスが加えられたこの作品は、「航空業界で働く人々」の群像劇として、より「大人にも楽しめる作品」になっています。
矢口史靖監督のすごいところって、、こういう作品を撮るときに、本当に「素直に笑えて、素直にカッコいいと思える描きかた」ができるところだと思うんですよ。
他の監督であれば、「いまの日本の航空行政は……」とか「安全対策への疑問」みたいな「社会的なテーマ」をちょっと入れてみたいという誘惑に駆られるところなのでしょうが、矢口監督は、あえてそういう「作り手の主張」を排除して、「働く人たちの元気が出るように」この映画を撮っているように感じられました。
まあ、クレームばっかりの乗客に対しては、ちょっとチクリとやってますけどね。

僕はどちらかというと、ごく普通のフライトで起こるちょっとしたトラブルやお客からのクレームにスタッフが対応していく前半のほうが、「事件」が起こって緊迫する後半よりも「面白い」と感じました(まあ、後半の事態そのものが面白がれるような性質ものじゃないんですけど)。なんか、後半はキムタクの『GOOD LUCK!!』みたいで、なんとなく既視感がありましたし。

それにしても、航空業界って、かなりコンピューターで制御されているように見えるけど、まだまだ人間が直接関与している部分が大きいんですねえ。
考えてみればごくあたりまえのことなんだけど、座席が「オーバーセール」(席数以上にチケットが販売されている)になっている状態で、「席を替わってくれる人」は、地上スタッフが「あっ、この人は優しそう!」みたいな感じでこっそり選んでいるのだというのを知って、なんだかちょっと微笑ましく思いましたし、「いまの飛行機はほとんどがオートパイロット」だと聞いていたので、僕のイメージよりもはるかにパイロットが「操縦」していることにもちょっと驚きました。

そして、なんのかんの言っても、パイロットってカッコいいし、CAさんたちって素敵ですよね。
この映画を観ながら、僕は「ああ、医者に憧れている人は、こんな気持ちで医療ドラマを観ているのかな」というようなことを考えてしまいました。
綾瀬はるかさんの初々しいCA姿もよかったのですが、吹石一恵さんの「ちょっと仕事に慣れてきて生意気盛りのCA」や寺島しのぶさんの洗練されたチーフパーサーっぷりにも萌え萌えです。グランドスタッフ役の田畑智子さんは、最近若返ったんじゃなかろうか。なんかやたらと可愛かった。
ああ、看護師フェチの人って、こんな感じなのだろうか……
けっこう酷いことを言いながら休みなく飛行機をさばいていく管制官とか、少しのミスも許されない環境で頑張っているメカニックたちの姿にも共感できましたし。
僕は飛行機恐怖症なので、離陸のときに窓から外を眺めることはないんですが、あんなふうにスタッフは、自分たちが整備した飛行機に手を振って見送ってくれてたんだなあ。いままで全然気付かなかったよ。

とにかく「働いている人」にとっては、すごく励まされる映画です。
「歯車」でいることに辛くなることもあるけれど、そのひとつの歯車がないために、世の中がうまく回らないことだってある。

「飛行機好き」「空港の雰囲気が好き」「最近仕事にちょっと疲れてる」「とにかく素直に楽しめる映画が観たい」
そういう人には、自信をもっておすすめできる映画です。