琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

劔岳 点の記 ☆☆☆☆


内容紹介
誰かが行かねば、道はできない。
日本地図完成のために命を賭けた男たちの記録。

▲最高の映画キャスト・スタッフの力が集結してのみ達しうる“奇跡の映画”がここに誕生!
原作は、実話を基にした新田次郎の同名小説。監督・撮影:木村大作にとっては、50年の映画人生
全てをかけて取り組む50本目にして初めての監督作品。音楽は、黒澤明作品をはじめ数多くの映画
音楽を手掛ける池辺晋一郎を音楽監督に迎えた。
キャストは、測量手・柴崎芳太朗に浅野忠信、案内人・宇治長次郎に香川照之、測夫・生田信に松田龍
平、柴崎の妻・葉津よに宮崎あおい日本山岳会・小島烏水に仲村トオル、元測量手・古田盛作に役所
広司ら豪華キャスト陣が集結!
▲前代未聞のスケールでロケを敢行。この映画には“魂”がある―
撮影期間2年、撮影日数延べ200日以上、標高2999メートル、最低体感温度氷点下40度超の
劔岳立山連峰各所で前代未聞のスケールでロケを敢行!大自然とそこに挑む儚き人間の姿をフィル
ムに焼き付けた!!

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
名カメラマンとして知られる木村大作が初監督、浅野忠信が主演を務めたドラマ。明治時代末期、陸軍参謀本部より日本地図最後の空白地点、劔岳の登頂を命じられた測量手の柴崎芳太郎が、案内人の宇治長次郎ら仲間と共に山頂を目指す。

木村大作監督は、「この映画は、『撮影』じゃなくて『修行』だ」と仰っておられたそうなのですが、実際に観てみると、その言葉の意味がよくわかりました。観ていると「雪山撮影のドキュメンタリー」みたいに思えてくるんですよ。
「空撮」「CG」を使わずに撮影された、劔岳立山連峰の映像は、本当に「壮絶」のひとことです。
この撮影、ひとつ間違ったら人が死ぬんじゃないか?と思いながら観ていたのですが、実際に撮影現場で落石事故があり、スタッフ1名が負傷したこともあったそうです。
この映画には、「そのくらいで済んでよかったなあ」と感じるくらいの「雪山の恐ろしさ」が描かれており、その一方で、劔岳の「人を寄せ付けない美しさ」も焼きつけられています。

ただ、この映画の主役は、あくまでも「劔岳」で、脚本は、そんなにドラマティックじゃないというか、正直、140分のうち100分くらいは、「人間が劔岳の大自然に苛め抜かれる姿」が延々と続いて、ちょっと退屈ではありました。「うわー、すごい風景!でも、登れそうもないなあ…」というのが、この映画の上映時間の70〜80%を占めているのです。
「地図をつくるためだけにこの難所に挑戦する男たちの姿」は気高いものではありますが、話が動き出すまでがかなり長いので、「うーん、別に日本地図の『劔岳』のところだけ空白でもいいんじゃない?誰も困らないだろうし……」というような邪な気分にもなってきます。

「よく撮ったなあ」「すばらしい映像だなあ」とは思うんだけど、「面白い映画」じゃないんだよね。
もっとも、木村監督は「劔岳が主役の映画」を撮るつもりだったのでしょうから、まさに狙い通りの作品になっているのではないでしょうか。
こういう作品での浅野忠信さんや香川照之さんの「自分を消して映画を活かす」演技っぷりもすばらしいものではあります。

それでも、観て損はしない作品です。テレビドラマのスペシャルみたいな「映画」が多いなか、これだけのスケールで圧倒してくれる映画は、最近の邦画には、ほとんどないですし。

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