琥珀色の戯言

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西原理恵子の人生画力対決2 ☆☆☆☆


西原理恵子の人生画力対決 2 (コミックス単行本)

西原理恵子の人生画力対決 2 (コミックス単行本)

内容説明
売れてる有名漫画家さんと、お絵かき対決!

第2集に登場する漫画家さんは、吉田戦車伊藤理佐雁屋哲松本零士須藤真澄くるねこ大和浦沢直樹長崎尚志江口寿史竹宮惠子若杉公徳、という、あまりにも豪華なメンバーです。

『人生画力対決1』の感想はこちらです。


あの『人生画力対決』の第二弾!
今回もベテランから若手まで、現役人気漫画家たちが勢ぞろい。
第一弾に比べると、西原さんも対決相手の漫画家さんも、「これはいったい何の絵?」と絶句してしまうような絵が少なくなってしまったのはやや残念です。
竹宮惠子さんが「あらかじめ出そうなテーマにヤマをはって予習していた」という話が出てくるのですが、おそらく他の漫画家さんたちも多少なりとも下準備はされているのだと思います。この「画力対決」の「お題」も、過去問がだいぶ増えてきましたし。

今回の対決相手のなかで、いちばんの注目は、やはり、浦沢直樹さんでしょう。
浦沢さんと西原さんといえば、浦沢さんの渾身の作品『PLUTO』に対して、西原さんが『うつくしいのはら』という「サイバラ版『PLUTO』」を発表したという因縁もあり(あのときは、『PLUTO』みたいに長々と描かなくても、こんなに短く、同じテーマを語れる!なんていう声もありました)、今をときめく人気漫画家・浦沢直樹が、どんなふうに西原さんと「対決」するのか、僕も興味津々だったのです。
そして、本当に、世間が言うほど、「浦沢直樹は、絵がうまい」のか?

参考リンク:浦沢直樹さんが語る、「三谷幸喜さんと僕の共通のこだわり」(活字中毒R。)

↑の『QJ(クイック・ジャパン)』でのインタビューで、「僕の場合、単に絵が上手く描けちゃっただけなんです」と言い放っている「天才・浦沢直樹」。
でも、その場で「お題」を出されて、その絵を描かなければならないというこの「画力対決」でも、即興でスゴイ絵が描けるのかな?

結論。
やっぱりすごいです、浦沢さん。言うだけのことはあります。
この『画力対決』に登場している漫画家さんたちのなかでも、頭ひとつ抜けているんじゃないかと思うほど上手い。他の漫画家さんの漫画も上手い(それに加えて、ちゃんと「浦沢直樹風」になっています)。

 ボクは子供の頃ジョーの単行本が手に入らなくて全巻自分で手描きしてそろえようとしたんだよ。

って、浦沢さんなら本当にやってしまいそうなおそろしさ。

相変わらず面白いこの『人生画力対決』なのですが、この『2』を読んでいて興味深かったのは、西原さんが、くるねこ大和さんのことを「絵柄が若い」とか言ってたり、若杉公徳さんのことを

 だって今の若手の中でダントツ下手。
 つのだじろうの生まれ変わりだと思わせるほどの堅汚さ。

と(愛情をこめつつも)酷評していたりと、各人の「絵そのものについての評価」をしているところでした。
プロの漫画家が同業者の絵を評価すると、こんな感じなんだなあ、と。
若杉さんの絵がものすごく上手いとは思わないけれど、プロの目でみると、「ダントツ下手」なのか……
まあ、『画力対決1』で話題になった福本伸行さんもそうなのですが、「絵が上手いだけで売れる世界でもない」し、「個性やアイディアで画力のハンデを超えられることもある」のが漫画の世界の怖さでもあり、面白さなんでしょうね。

それにしても、浦沢さんが唯一「失敗」したのが、あの超国民的人気漫画のネコ型ロボットだったというのは、すごく不思議なような、妙に納得できるような……

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