琥珀色の戯言

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イタリア家族 風林火山 ☆☆☆☆


イタリア家族 風林火山 (ぶんか社コミックス)

イタリア家族 風林火山 (ぶんか社コミックス)

出版社 / 著者からの内容紹介
イタリア人男性と結婚し、イタリアで三世代同居を経験した 著者がそのギョーテン生活をコミカル&リリカルに描きます☆ ギャグタッチと写実的絵柄が交錯する新感覚コミックに、 『テルマエ・ロマエ』ファンも夢中になること間違いなし! 今だから明かせる(!?)漫画家デビュー秘話もSP収録!

あの『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんがイタリア人と結婚し、イタリア人家族のなかでの生活を描いたコミックエッセイ。
もちろん、「イタリア家族」もすごいのですが、僕は、ヤマザキマリさんの人生のほうに、よりいっそう驚いてしまいました。
「あとがき」に

 私は何かとドラマティックな人生を歩んできた母親に育てられてきたせいか、子供のころから「安泰」だとか「平穏」といった形容とは無縁な暮らしを続けてきました。
身の回りに起こる事の何もかもが突発的に生じるという仕様になっておりまして、中学2年でヨーロッパに一人旅へ出たのも、17歳でイタリアへ美術の勉強に渡ったのも、その後に私の身に起こった全てが「計画」や「予定」という段取りをほとんど経ずになされてきた事ばかりです。
 漫画家になったのも、本当に衝動的な思いつきからでした。

 10年間同棲していた相手と、出産を機に別れ(それも、「男が逃げた」のではなく、ヤマザキさんのほうが「生活力のない男を切り捨てた」というふうに書かれています)、それまでずっと油絵を描いていたのに、「お金を稼ぐために」漫画を描き始めたというヤマザキさん。
 そんな14歳年上・子持ちの彼女になぜか恋い焦がれ、結婚した学者の夫・ベッピーノ。
 僕は読んでいて、なぜこんな生真面目そうな人が、自由奔放なヤマザキさんに魅かれて、ノンストップで結婚に至ったのか、不思議でなりませんでした。「日本女性」への勘違い……にしては、結婚後もうまくやっているみたいだし。
 「職人気質」のペッピーノ家の男たちと、マイペースで自己主張が強いけど働き者の女性たち。

 このコミックエッセイに登場する人たちは、みんなある意味「極端」だし、ごく平均的な日本人である僕にとっては、「とてもついていけない」気がするのです。
 でも、不思議なことに、ヤマザキマリさんも含め、「極端な人たち」が集まって「家族」になると、けっこうバランスがとれてしまうんですよね。

「あとがき」には、こんな言葉もありました。

 穏やかじゃない人が穏やかじゃない家族の一員になる。
 世の中本当にうまくできているなと思います。

テルマエ・ロマエ』のルシウスをはじめとする、「こだわりすぎる人への、優しい視線」や作品での「極端であることへの思い切りのよさ」というのは、ヤマザキさんのこういう人柄と人生経験を反映しているのだというのが伝わってくる、興味深いコミックエッセイでした。
「日本でマンガ家になる若者のフォーマット」から外れていた人だからこそ、『テルマエ・ロマエ』みたいな作品を描くことができるのだろうなあ。

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