琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

『琥珀色の戯言』が選ぶ、2010年の映画ベスト5


もう今年もあと4日ということで、今年僕が観た映画のベスト5を振り返ります。
今年は23本観たのですが、去年より7本減でした。

では、さっそくランキングの発表です。


第5位 第9地区

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この映画の僕の感想はこちらです。

この映画、観ているあいだは、ドタバタ・アクションのように感じられるのだけれど、観終えてみると「人間は、差別をせずにはいられない生き物なのか?」とか「人間は『見た目』を越えることはできるのだろうか?」というようなことを考えずにはいられなくなる良作です。

なんとなく、『ウイングマン』の最後の、あおいさんのことを思い出してしまいました。

もし、あおいさんがああいう選択をしなかったら、広野健太は、どちらを選んでいたのだろう?

「B級SF映画に抵抗がない」人であれば、ぜひ一度観ていただきたい映画です。

第4位 ノルウェイの森

この映画の僕の感想はこちらです。

「原作のイメージと違う」という意見は、たくさん出てくると思います。
しかしながら、僕は「原作のイメージとは違うからこそ、原作ファンにとっては、興味深い作品になっている」という気がするんですよ。
原作を未読の人にとっては、「なんか断片的なイメージ映像みたいなのが2時間続いて、いろんなことが突発的に起こる、よくわからない映画」っぽいし、トラン・アン・ユン監督は「みんな『ノルウェイの森』は、読んだことあるんだろ?」と思っていそうなので、未読の人には、説明不足で「不親切な作品」だと思われそうですけど、僕にとっては、非常に興味深い映画でした。
あと、主題歌にビートルズの『ノルウェイの森』が使われているのは、当たり前のことなのかもしれないけど、すごく良かった。


第3位 アバター

この映画の僕の感想はこちらです。

 いろいろ考えるところはありましたが、ストーリーのアラさがしに熱を上げるよりも、(できれば3Dで)惑星パンドラへの旅を楽しむつもりで観るべき映画でしょうし、映画マニアにとっての「すばらしい映画」ではなくても、多くの人にとっての「スゴイ映画」「2時間半、浮世を忘れさせてくれる体験」ではあるはず。

 こういう映画こそ、ぜひ、映画館(できれは3D上映)で!
 観終えて、「なんかスゴイ映画を観たよ!」って誰かに語りたく作品って、そうそうありませんから。

第2位 告白

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この映画の僕の感想はこちらです。

この映画、最初から最後まで、とにかく「不快」なんですよ。

僕はやっぱり自分の息子のことを考えてしまって、基本的には森口先生に共感するのだけれども、自分の子供が、「犯人側」になることは絶対無い、と言い切れない怖さもあるのです。人は(子供にかぎらず)小さなプライドやその場の流れみたいなもので、罪を犯してしまうことだってある。

犯人たちを徹底的に虐める同級生たち、罪を犯したはずの自分の子供のほうを「かわいそう」と言い続ける母親などを見ていると、「どちらが正しい」とかいうのではなく、すべてが間違っているようにしか思えなくて、「ちきゅうはかいばくだん」をドラえもんに出してもらいたくなりました。

こういう作品を、「観ることが可能なくらいにはポップで美しく」そして、「観客がなるべくフラットな立場でいられるように」撮った中島監督は、やっぱり凄い

第1位 トイ・ストーリー3

この映画の僕の感想はこちらです。

アンディとウッディの「選択」は、なんというか、僕自身がいままで見捨ててきたオモチャたちへの「贖罪」を代わりにやってくれたようにも感じました。
親になってみて気づいたけれど、ほんと、子どもがオモチャで遊んでいるのを見る(あるいはそれに参加する)ときほど、幸せな気分になれることって、そんなにないんじゃないかな。
僕もこうやって、自分の「世界」をつくってきたんだな、って、懐かしくもあり、それを失くしてしまったことが、少し寂しくもあり。
時代が変わり、子どもが手に持っているオモチャの形は変わっても、人間の子どもたちは、ずっと、同じ「成長のための儀式」を繰り返している。


ピクサージョン・ラセターは以前「『トイ・ストーリー』のオモチャたちは、ピクサーのスタッフの分身である」と言っていたそうです。
『1』から15年、古参のスタッフたちは、みんな年を重ね、「親」にもなっていきました。
そういう「年輪」みたいなものが、この『3』には、刻まれています。
ウッディやバズは、彼らにとって、大事な子どもたちであり、また、「先生」でもあったのではないかなあ。
そして彼らは、ウッディやバズに、この物語で「永遠の命」を吹きこんだのです。


アバター』の公開は昨年12月だったのですが、僕が観たのは今年に入ってからなので、今年のランキングに入れました。
アバター』は、「新しい映像体験」として素晴らしかったと思うのですが、その一方で、「3D映画ブーム」により、「3Dで見栄えがするようなアクション映画」が多く公開され、ストーリーで魅せるような作品が、あまり目立たない(というか、僕が観ていないだけなのかもしれません)年だったような気がします。
僕のなかでは、『トイ・ストーリー3』と『告白』の2作品がとくに印象に残っているのですが、最後は「観たあとに残るのが『希望』か『絶望』か?」と考えて、『トイ・ストーリー3』を1位にしました。
うちの長男、もう2歳になったのですが、最近映画を観るときには、「これは息子に見せてやりたいだろうか?」というようなことを考えてしまいます。
結局、今年観たなかで、「もっとも子供に見せたい映画」と「もっとも見せたくない映画」が1位2位になりました。
ちなみに、『ノルウェイの森』は、作品そのものへの評価というよりは、「僕がとにかく今まで生きてきて、この小説の映画化にたどり着いたこと」への感慨で挙げました。
エンディングのビートルズノルウェイの森』を聴いていると、高校生のときにあの小説を読んでから今までの間に、「この映画を観ることなく、失われてしまったたくさんの人たち」のことを、考えずにはいられなかったんですよね。

今年も、まったく役に立つこともない、個人的な映画の感想にお付き合いいただき、ありがとうございました。
来年も、月2本ペースくらいで観られたらいいなあ、と思っていますので、ご笑覧いただければ幸いです。

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