琥珀色の戯言

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47都道府県 女ひとりで行ってみよう ☆☆☆☆


47都道府県女ひとりで行ってみよう (幻冬舎文庫)

47都道府県女ひとりで行ってみよう (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
日本には47都道府県もあるのに、行ったことがない場所があるというのはもったいないなぁ。というわけで、全部行ってみることにした。33歳の終わりから37歳まで、毎月東京からフラッとひとり旅。名物料理を無理して食べるでもなく、観光スポットを制覇するでもなく。その時の自分にちょうどよいペースで、「ただ行ってみるだけ」の旅の記録。

この本へのamazonのレビューは毀誉褒貶が激しく、なかなか強烈でした。

僕は益田ミリさんが書かれたものはけっこう好きで、よく読むのですが、なんだか不思議な人だなあ、と、いつも感じます。


広島県の項から。

 わたしは、自分がひとりで屋台に座るなんてことができないのをもう知っている。しかも、それを克服したい気持ちがないこともわかっている。わたしは旅で地元の人とふれあわなくてもいいし、むしろふれあいたくないと思うタイプだったのだ。
「旅」と聞くと、テレビのレポーターみたいに、地元の人とふれあわないとダメなんじゃないか、おいしいものを食べないといけないんじゃないかと最初の頃は気負っていたけれど、もうどうでもよくなった。地元の居酒屋で隣の席の人たちと仲良くしゃべったり、お酒をごちそうになって楽しかった、という誰かの旅話を聞いても、ああそうなんだ〜と思うだけである、横切るだけでも旅は旅であり、その土地の空気に触れたというのでもいいんじゃないかな、などと思う。


岩手県の項より。

 中尊寺では2時間ほど自由行動があったんだけど、解散する前に、「全員で記念写真を撮りますのでご協力ください」と、バスガイドさんに言われた。欲しい人は申し込んで買う、というシステムだ。でも、わたしだけ断った。知らない人と記念写真なんか撮りたくない。だって、だって、後になって、写真を買った人たちが「この人、ひとりで参加してたのよ〜」などと、誰かに写真を見せながらわたしのことを説明するかも、と思うと恥ずかしい。ひとりで参加していた若い女性は、ニッコリ笑ってみんなと写っていた。
 バスに戻ったときに、後ろの席の親子連れが、
「写真は思い出になるから、撮ったほうがいいわよねぇ」
 などとしゃべっている声が聞こえた。イヤミか!?


大分県の項。

 夜は大分駅前をぶらぶら散歩。ファッションビルの中の本屋さんに行ったら、わたしの本『すーちゃん』(幻冬舎)が平積みになっていて感激してしまった!! お店の方にご挨拶しようか迷い(10分くらい店内をさまよう)でも、勇気を出してご挨拶すると、「いつも本、読んでます」と言われ、とっても嬉しかった。


この『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』、「旅嫌い、人嫌いなんだけど、何もしない人生は、なんとなく淋しい」という僕にとっては、すごく共感できる本でした。
逆に「旅行大好き!」「旅先では、地元の人たちとのふれあいが大事!」なんて人にとっては、「なんでこんな女が『旅行記』なんか書いてるのっ!」と言いたくなるに違いありません。
ビジネスホテルに泊まって、コンビニ弁当で晩ごはん、なんていう旅の様子が、まさに赤裸々に語られています。
「原稿を書くために、毎月各県に行く」という、まさに「やっつけ仕事」であり、益田さんのすごいところは、淡々とそのやっつけ仕事をこなしてしまうところなのです。
変に気合いを入れるではなく、だからといって、明らかな手抜きをするわけでもなく。

世の中には貧乏旅行や、ふれあい旅行が好きな人ばかりではなく、自分のペースで、知らない土地の空気を吸うだけ満足、という人もいるんですよね。
僕もそうだからよくわかる。
その一方で、バスツアーの団体写真をひとりだけ断ってみたり(ああいうのって、断るための労力を考えると、黙って写ってしまうほうが、はるかにラクですよね、たぶん)、旅先の書店で「著者です」と店員さんに声をかけてみたり。
人見知り、恥ずかしがりだと思いきや、いきなりすごく大胆な行動をとることもあるのです。
「人間って、そんなもの」なのだろうと思うし、僕はその率直さがけっこう好きです。


でもまあこれ、益田ミリさんが好きな人にとっては愉しいけど、「旅行記好き」にとっては、ムカつく本だろうな、とは思います。
「旅行ガイド」としては、まったく役に立たない本なのですが、益田ミリさんのファンにはおすすめです。

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