あらすじ: スペインとフランスに挟まれた小国アンドラで、日本人投資家の殺人事件が起こり、パリにいた外交官・黒田康作(織田裕二)が調査に乗り出した。しかし、遺体の第一発見者、銀行員の新藤結花(黒木メイサ)は何者かに狙われ、インターポール捜査官の神足誠(伊藤英明)は捜査情報を隠そうとする。そんな中、黒田に最大の危機が訪れ……。
今年19本目の劇場鑑賞作品。
日曜日の18時からの回を観たのですが、観客は僕とあとひとり、合計2人でした。
ちょうど夕食時の回だったのと、27時間テレビが佳境に入っていた影響もあるのかもしれませんが、まあ、そろそろ上映も終わりそうな感じではありますしね。
映画館は、すっかり『ハリー・ポッター完結編』と来週からの『トランスフォーマー3』中心になっていました。
この『アンダルシア』、前作『アマルフィ』では、あまりのぶっ飛びっぷりに僕は驚かされたのですが、今回は、「意外とマシ」というのがネット上での評判でした。
しかし、「意外とマシ」とか「及第点」という映画って、いざ観に行こうとすると「そんなに面白いわけでもないし、ネタにもしにくそうだし(そういう意味では、『アマルフィ』は、ネタ映画としては最高だったのです)、と、なかなか腰が上がらないんですよね。
それなら、気になっている映画のDVDでも借りてきて観たほうがいいんじゃないか、とか。
でもまあ、今日はひとつ気合いを入れて、とりあえず観てきました。
どのくらい前作から、「進化」しているのだろう?って。
この『アンダルシア』、なんというか、「邦画としては、けっこう面白いアクションサスペンス」で、とくに印象的なところもなかったけれど、すごく文句をつけたいところもなし、という「すごく感想を書きにくい映画」だったんですよね、結果的には。
『アマルフィ』の「黒田康作のひとり相撲」+「天海祐希のモンスターペアレンツ」+「寄り道しただけのアマルフィ」という強烈なコンボに比べると、『アンダルシア』は、「ストーリーにはそれなりに筋道が通っている」+「景色はとりあえず綺麗で、アンダルシアに行く理由も前作ほどの無理矢理感はない」+「伊藤英明も黒木メイサもそれぞれ『濃い』ので、織田裕二がそんなに浮いてない」と、それなりにバランスがとれています。
前作は、下手に「海外で撮った映画」というのを強調しようとしすぎて、外国人キャストを使ってかえって不自然になっていましたが、今回はひたすら「日本人による海外ロケ映画」に徹しています。
このくらい割り切ってしまったほうが、「観やすい映画」にはなるよねやっぱり。
ストーリーの本編とは全く関係ない、エロい絡みシーンのためだけに出てくる福山雅治さんとか、黒田に都合よく使われるためだけに出てくる戸田恵梨香さん、なんていうのは、豪華を通り越して、「何かこの映画のプロデューサーに弱みでも握られているのか?」と勘繰りたくなりますけど。
(ただ、福山さんの役は、男としては「やってみたい」かなやっぱり)
でも、本当に「大きなマイナス点は無い佳作」でしたよ。
あえて言えば、「新藤、それ、黒田康作に偉そうに指摘される前に自分で気づけよ……」というくらい。
映画館で1800円払うんだったら、『ハリー・ポッター』や『トランスフォーマー』だと思うけど、DVD借りて観るのであれば、十分満足できるレベルの作品だと思います。
邦画のこういう「アクションサスペンス」って、アクションのチープさを誤魔化すために、なんか説教くさいテーマ語りみたいなのが入っていて興ざめすることが多いのですが、この『アンダルシア』は、「観ているときはけっこう面白くて、終わったあとは何も残らない」という潔い作品で、僕は好感を持ちました。
これだったら、続編も観たいかな。