琥珀色の戯言

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さんかく ☆☆☆☆


さんかく 特別版(2枚組) [DVD]

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ちょっぴりダメ男・30歳の百瀬(高岡蒼甫)と、ちょっぴりイタイ29歳の佳代(田畑智子)は、同棲して2年が経ってる。つきあいたてのラブラブ感はなく、特に百瀬は、佳代との関係にマンネリを感じ、態度や言葉の節々が無愛想になっていた。夏のある日、そんな二人の元に、佳代の妹で中学3年生(15歳)の桃(小野恵令奈)が、学校の夏休みを利用して転がり込んできた。

天真爛漫な桃のペースに振り回される百瀬と佳代。百瀬は、桃がもたらすいつもと違う気配にドギマギ。夜中の桃のトイレの音が妙に気になったり、下着同然の部屋着姿でうろついたり、かわいく耳打ちしてきたりと、桃がやって着てから落ち着かない日々を送る百瀬。さらに桃は、百瀬自慢のカスタムカーを「個性的でかわいいじゃん!」と褒めたり、百瀬のケンカ自慢話に目を見つめながら「桃は強い人、好きだよ」とつぶやいたり、百瀬の心を何かとくすぐる。そんな桃の態度に、百瀬は次第に惹かれてしまう。


キャッチコピーは「好きになるのは、カンタン。好きでいるのは、ムズカシイ。」


今まさに旬な役者さんたちが勢揃い!
高岡蒼甫!(フジテレビの「韓流依存」への批判で話題)
田畑智子!(突然のヘアヌード
小野恵令奈!(一度芸能界引退したものの、最近復帰宣言)


まあ、小野さんはそれほど「大ニュース」にはなっていませんが、ある意味「二度と実現できない豪華キャスト」かもしれません。
高岡さん事務所やめちゃったし。


と、余りにもタイムリーだったので思わず茶化してしまいましたが、この『さんかく』、本当に良い映画でした。
最初は観ていて腹が立ってくるんですよ。
百瀬、お前リアルバカだろ、佳代、男見る目ないな、桃、大人を舐めるんじゃねえ!

とくに前半での「自分大好き男」百瀬のバカっぷりには、見ているほうが恥ずかしくなってきます。
自分の写真がデカデカとプリントされた改造車を乗り回し、中学生の女の子(しかも恋人の妹)に振り回され……
いや、小野恵令奈さんはたしかに魅力的なんですよね、自分でもまさかと思いつつ、振り回されてしまってもおかしくないというか。

でもまあ、これって、そういう「倦怠期のカップルの間に投げ込まれた異物」によって、関係が変わっていくのを描くコメディなんだろうな、と僕は予想しながら観ていました。
最後は、落ち着くところに落ち着くのだろうな、って。


ところが、この映画では、百瀬と佳代の関係は、桃の侵入をきっかけに、大きく歪んでいくのです。
僕はこれを観ながらつくづく思い知らされました。
人間って、他人のことは見えていても、自分のことは見えていないものなんだあ。
そして、人と人との関係、とくに恋愛なんていうのは、多かれ少なかれ、「歪んでいる」ものなのかな、と。


最初のほうでは、「唯一の常識的な人間」のようにみえていた佳代に起こる変化、それを見ながらも、自分のことには気づかない百瀬、そして、無邪気なんだか計算高過ぎるのかよくわからない桃。
この映画、主役3人の演技、とくに田畑智子さんの存在感に圧倒されました。
「完全に狂っている」のではなくて、「なにかのきっかけで、誰にでも起こりうることなのではないか」というギリギリのリアリティを演じ切れる人は、そんなにいないのではないかと思います。
そして、高岡蒼甫さんって、なんかヤンキーっぽい怖いだけの人という印象だったのですけど、この『さんかく』では、「バカだけど第三者的には憎めない男」というバランスの難しい役を、ちゃんと「バカ」と「憎めない」を両立させて演じているんですよね。
こういう役って、簡単そうで、なかなか難しいはず。


キャストも地味(なんだか突然「話題性ありまくりのキャストになってしまいましたが)、派手なアクションや特撮があるわけでもなく、有名女優の濡れ場があるわけでもない。
でも、観終えたあと、「観てよかった」と、しみじみ「余韻」に浸れる作品だと思います。
そして、ダメな自分や、ダメな周りの誰かを、少しだけ許してあげたくなるのです。


それにしても、あのとき、佳代は、なんて言ったのだろうか?