琥珀色の戯言

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毎日かあさん8 いがいが反抗期編 ☆☆☆☆


毎日かあさん8 いがいが反抗期編

毎日かあさん8 いがいが反抗期編

内容紹介
2011年度日本漫画家協会賞 参議院議長賞受賞!
シリーズ累計180万部突破の大人気シリーズ最新刊。

ついに、中学生の息子が反抗期に突入!
特別描き下ろしは台湾取材をもとにした「台湾吉日」ほか盛りだくさんの24ページ!
台湾へ出発する空港で息子が起こした騒動とは!?


毎日かあさん』、単行本が出たら毎回買っているのですが、「鴨ちゃんの死」というような劇的なエピソードが無い時期というのも、安心して読めるので悪くないな、という気がします。


しかし、これを読んでいると、世間の「良識的な親」は、この『毎日かあさん』をどう思っているのだろう?と考えずにはいられません。
この作品の主要登場人物の「麦ちゃん」(5人の子どもあり)が、夏祭りで子どもをほったらかしにして、西原さんたちと昼酒をあおる、という回があるのです。
たぶん、この『毎日かあさん』の読者の親の大部分は、これを読んで、「そうそう、子どもって、何のかんの言っても勝手に遊んで大きくなるものだし、親も息抜きしなくちゃね」という気持ちになるはずです(僕もそうだった)。


でも、先日熊本で「子どもをひとりでトイレに行かせたら、見知らぬ男に殺されてしまった」という事件がありました。
もし、この「麦ちゃん」の子どもが、放置されている間に、なんらかの犯罪の被害に遭ったら、「世間」は麦ちゃんを許せるのだろうか?
そして、麦ちゃんは、自分自身を許せるのだろうか?


いまの世の中ですから、『毎日かあさん』にも、読者からの「反論」や「罵声」は来ているはずです。
毎日新聞も、よく掲載を続けているなあ、とも思います。
僕はこの『毎日かあさん』を、賛成とか反対とかよりも、「世の中には、こんな子育てもあるのか」と面白がって読んでいるだけなのですけど、運がよければ「子どもは勝手に育つ」「親にも休息が必要」と称賛され、運が悪ければ「育児放棄」「欧米では虐待」なんて言われるというのは、あまりにも理不尽ではないかと感じます。
スポーツ選手にするためにスパルタ教育をする親だって、お受験ママだって、結果的に、子どもが成功すれば、「独自の子育て術」で、うまくいかなければ「子どもの可能性の芽を摘んだ」と言われてしまう。


こんな「空気」のなか、「親バカを貫いている」西原さんはすごい。
ただ、「自分の子どもの話」っていうのは、やはり難しい。
あの椎名誠さんの名作『岳物語』で描かれた息子さんは、「あなたがあのお子さんね」と周囲に言われ続け、椎名さんに「もう自分のことは書かないでくれ」と猛抗議したそうです。
あまり書かれることがなかった椎名さんの娘さんのほうは、「自分が作品にならなかったこと」に淋しさを感じていたらしい、とのことでした。


たしかに、いくらそれが大人にとっては「良い作品」であっても、子どもにとっては、そんなふうに「親に書かれる」ことそのものが、傷つく原因になりますよね……


僕はこの巻の最後の台湾旅行のエピソードに出てきた

(こういう家族での旅のことを)
覚えててもいいし、忘れててもいいし。

という言葉が、すごく印象に残りました。
こういうのが、たぶん、「親心」ってやつなのでしょうね。

僕ももっと、優しく、おおらかになれるといいな、と思います。
子どもにも、そして、自分自身にも。

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