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琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

「THE MANZAI 2011」感想

漫才日本一にパンクブーブー(nikkansports.com)

 参加した1516組の中から、上位15組とワイルドカード銀シャリが決勝トーナメントに進出。ナイツ、Hi−Hi、パンクブーブー、千鳥の4組がファイナルラウンドに進んだ。

 ファイナルラウンドでは、西川きよし秋元康氏らプロ審査員9人の9票と視聴者票1票の計10票を争った。パンクブーブーが5票を獲得。ナイツが3票、千鳥が2票だった。パンクブーブーは優勝賞品として、同局レギュラー番組と「笑っていいとも!」をはじめ、同局のバラエティー26番組の出演権を獲得した。


THE MANZAI 2011」の感想など。
第1回ということもあるのか、最初のほうはかなり間延びしていた印象がありました。
だって、番組開始が19時で、本戦のGroupAの一組め、囲碁将棋のネタがはじまったのは、19時40分くらい。
M−1の緊張感に比べると、なんだか緩い感じもしましたし。

あと謎だったのがワイルドカード
M−1では、「陰の優勝候補枠」みたいな感じでしたが、さすがに本戦に15組も選ばれていると、それ以外から一組というのは、明らかに優勝するには厳しいレベルの人になってしまうわけで、なんだかムダな制度だなあ、と。
今回の銀シャリには悪いけど。

だいたい、4時間は、集中して観るには、ちょっと長すぎですよね。
しかも、関係ないことやっている時間がかなり長い。
たけし絡みの話とか、決勝前の、それぞれのネタをもう一度振り返るとか、要らんだろそれ。
いくらなんでも、ついさっきのネタくらい覚えているし、時間調整なのかあれは。

で、パンクブーブーの優勝に、とくに文句はありません。
観終えて、「ああ、やっぱり上手いな」とは思いました。
でも、僕としては、Hi−Hiの『北斗の拳』ネタのほうが笑えたんだよなあ。


そして、個人的には、ナイツの頑張りに感動しました。

「生放送中なのでピーを入れます。のりピーー」

正直言って、こういうネタは、「悪趣味」だと思うんですよ。
「国民ワラテン」で1位でも、審査員の票が伸びなかったのには、「それをテレビでやって、笑いをとってもいいのか?」という疑問もあったはず。
もちろん、そんなことは承知の上で、ナイツは、あのネタを出してきたのです。

僕のなかで、ナイツは「同じようなフォーマットで、技術で笑わせる安定感のある芸人」というイメージがあったので、もう売れている彼らが、あえてあの場所で、決勝戦で、あんなネタをやってきたのは意外でした。
あのタレントさんを人気ドラマで起用してきたフジテレビにとっては、あまり触れてほしくない話のはずだし。

ナイツがあの「犯罪者ネタ」で勝負してきたのは、「いちかばちかの勝負」をかけてきたのだと思うのです。
それと同時に、彼らの「浅草芸人」としての意地を見たような気がしました。


先日亡くなられた立川談志さんが、自分の半生を語った『人生、成り行き』という本のなかで、こんな話をされています。

――この前、師匠は高座のまくらで拉致家族の問題にも触れてましたね。



談志:あれもそうです。勿論、娘さんを理不尽にもよその国家に攫われた親御さんの気持ちはいかばかりかと思います。けれどそれと、「あの両親はいいな、生きがいを与えられて、テレビに一杯でて有名になれて、アメリカの大統領にも会えててん…なんだあの野郎、拉致太りじゃねえか」という、人間として一番最低の声を圧し殺すのは別問題です。こういう非常識な発言が聞けるのが、昔は寄席だったんです。テレビじゃ無理でしょ、そうするとこういう人間の感情の噴き出し口がなくなっちゃう。

 あたしだって、50年以上芸人をやってきた人間ですから、これを言ったら客から非難囂々でソッポ向かれると思えば口にしません。でも高座であたしが言うと、どっかんどっかん受けるでしょ? 勿論あたしのキャラクターということはありますが、みな、どこかで今の状態が不健康だということを察知しているし、意識の底で「拉致太り」だと思っている部分がほんの少しだけでもあるんですよ。



――しかし絶対テレビじゃ言えませんよね。カットされちゃう。

あの「のりピー」っていうのも、「テレビじゃ言えないネタ」だったのではないか、と僕は思いました。
でも、そういう「黒い笑い」あるいは「人間の感情の噴き出し口」としての笑いを、ナイツは、あの状況で、あえてやってみせたのです。

やるじゃん、ナイツ。根性あるなあ!


いや、ああいうネタが道義的にどうか、と眉をひそめる人は大勢いるだろうし、それが昨日の結果にもつながっていると思うんですよ。
それでも、「笑い」って、そんなキレイなものばっかりじゃないんだ、ということをあの場で証明してみせたナイツに、僕は痺れました。


「笑い」に、そういう「背景」みたいなものを考え過ぎてしまうのは僕の悪い癖だし、だからこそ、あまり素直に「お笑い」を楽しめなかったり、他人と「笑いのツボ」が違ってしまったりもするのですが……


4時間ちょっとという番組そのものは冗長だったし、決勝進出者も10人もいれば十分だと思うのですが、決勝の盛り上がりは素晴らしかったです。
あとは、せっかく「制限」が撤廃されたのだから、もっとベテランにも出てきてほしいなあ。
このままだと、延々とパンクブーブーが勝ち続けるんじゃなかろうか。