琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら(映画版) ☆☆☆


内容(「キネマ旬報社」データベースより)
岩崎夏海の大ヒット同名小説を、AKB48前田敦子主演で映画化した青春ドラマ。弱小野球部のマネージャーとなったみなみは、ある日書店で勘違いから手にとったドラッカーの名著「マネジメント」に感動を覚え、その教えを部活動で実践する。通常版。

あの『もしドラ』の映画版。
劇場公開時には「映画館がガラガラ!」なんていう噂も流れていましたが、DVDになると、比較的「貸し出し中」のことが多いような気がします。


観終えての感想。
「で、この映画、いったい何をアピールしたいの?」


いや、全然「わかってない」わけじゃないんですよ。
原作のキャラクターの名前にはAKB48のメンバーが使われていて、主演が「AKB48のエース」前田敦子さん。
要するに「アイドル映画」なんだよねこれ……


でも、この映画を観ていても、前田さんの魅力って、ほとんど伝わってきません。
むしろ、峰岸さんのほうが綺麗だな……とか、なんだこの自己中マネージャーは!というような気分にしかなれなくて。
致命的なのは、肝心の「ドラッカー」がほとんど活かされていないこと。
原作では、いちおう「野球部が強くなるために、ドラッカーのどんな思想を、どのように噛み砕いて、どう具体的に採り入れたのか?」が書かれています。
映画のなかでも、「陸上部と一緒に練習したら……」「ブラスバンド部にレベルの高い曲を発注し……」というようなエピソードは描かれているのですが、どうも「それって、野球部のほうのメリットばっかりなんじゃない?」ということばかり。
原作では、それなりに「なるほど、これならWin-Winになるな」と、それなりに納得できるものなのだけれども。
それ以外は、選手たちが「ひたむきにっ!」って叫んでいたら、なぜか急にみんながやる気を出し、チームが強くなって、甲子園に出られてしまう。
そして最後はなんかドラッカーが『マトリックス』の「創造主」みたいになって登場するという、なんだかタチの悪い幻覚をみているような作品でした。


これ、映画だけを観た人は、「ドラッカーって、読んだだけでこんなに奇跡が起こるのか!」と驚くか、「で、ドラッカーって、結局『ひたむきにっ!』って言ってるだけのオジサンなの?」と困惑するかのどちらかなのではないかと思います。


ただ、スポーツ映画っていうのは、なんというか、それなりに「観ることができてしまう」ところはありますね。
ドラッカー色が薄まりまくったおかげで、「ありきたりの青春映画」+AKBの人が出ている、という、「ラク〜に観られて、ああ、AKBの『カチューシャ』って、去年の夏に流行ったよなあと、懐かしい気分に浸れる」という作品になっています。
いやほんと、この映画の数少ない見せ場は、前田敦子さんのバッティングシーンとAKBのエンディング曲だから。


前田敦子さんを観ているだけで幸せ、という人以外には、ちょっとオススメしかねる映画だよなあこれは。
もうちょっと「キワモノ」であれば、ネタとして楽しめるんだけど、「大真面目に、こじんまりとアイドル青春映画としてまとめてしまっている」のは、僕にとってはちょっと残念でした。


ところで、エンドロールのあと、原作にあった主将の言葉をちょっと期待していたのですが、なんであのまま終わってしまったのだろう……