琥珀色の戯言

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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル ☆☆☆☆



あらすじ: ロシア・クレムリン爆破事件の犯行容疑がかけられたイーサン・ハント(トム・クルーズ)。アメリカ大統領は政府の関与への疑いを避けるべく、ゴースト・プロトコルを発令。イーサンと仲間は組織から登録を消されるも、新たなミッションを言い渡される。真犯人への接近を図るイーサンは、世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファの高層階へ外部からの侵入にチャレンジするが……。

参考リンク:『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』公式サイト


2012年1本目の映画館での鑑賞。
三連休初日の土曜日のレイトショーで鑑賞。
観客は50人くらいは入っていました。
公開初日が昨年12月16日であることを考えると、なかなかの健闘でしょう。


この映画、実際に観るまでは、「うーん、またトム・クルーズ、また『ミッション・インポッシブル』か……なんかちょっと飽きてきたよなあ。どうせまたおんなじような映画なんだろうし」と思っていたのです。
しかしながら、すでに観た人のあいだでは、思いのほか評判が良く、観客動員も上々ということで、僕も重い腰をあげてみました(最近はちょっと映画館とも疎遠になっていたのです)。

いやー、なんというか、面白いですよ、この映画。
そして、潔く、「エンターテインメントに徹している」作品です。
いまこの時代に「核戦争を起こそうとしている、IQ190の天才教授」ですよ!
いないだろそんなの……
しかもこの教授、よっぽど他人が信用できないのか、仲間がいないのか(っていうか、こんな誰も得しないような計画に同調する人はさすがに少ないでしょうけど……)、重要なミッションには、すべて本人がお出ましです。
そして、けっこう強いんですよこの人。
イーサン・ハントと互角に近いくらいの戦闘力。
やろうとしていることは「核戦争による世界浄化」なんて20世紀的なマッドサイエンティストっぷりなのですが、考えてみると、いまのコンピューター+オンライン+グローバリズム社会っていうのは、コンピューターに詳しいごく少数の人間だけで、「世界を大混乱に陥れるようなサイバーテロ」が可能になっている社会になってしまっているんですよね。
この映画を観ながら、「この教授、仲間いないよな〜」なんて苦笑していたのですが、だからこそ、『敵との戦闘シーン』よりも、この映画らしい、さまざまな小道具を使ってのスパイ・アクションの場面を多く見ることもできるわけです。
その一方で、「敵」のキャラクターが立っていないのは、この映画の唯一の難点かもしれません。


『ミッション・インポッシブル』では、シリーズお約束の、さまざまな「新兵器」が登場します。
高い壁を登れるパワーグローブとか、相手にホログラム映像をみせて侵入をさとられないようにするホームシアターみたいな機械とか。
これがまた、「ものすごく面白くて使ってみたくなるのだけど、実際にはもっとシンプルなやりかたがあるんじゃないかと思わずにはいられない」ガジェットばかり。
ドラえもん』でいえば、「スモールライト」「ビッグライト」があれば、「ガリバートンネル」要らないだろ!って言いたくなりますよね。
でも、あえてそういう「他に使い道がなさそうな機械」をあえて作ってしまうのが『ミッション・インポッシブル』らしさ。
そういうのが出てくるたびに、僕もついついニヤニヤしていました。
『ミッション・インポッシブル』に必要なのは、「リアリティ」や「人間ドラマ」じゃなくて、「遊び心」や「テンポのよさ」なのです。
ほんと、観ていて、「この映画をつくった人たちは『わかってる』なあ!」と感心するばかりでした。
観ている途中、間延びして腕時計に目をやる時間帯がほとんどありませんでした。


あと、ロシア、ドバイ、インドと、いま勢いのある地域で3カ所も大規模ロケをしているのもすごい。
しかも、「ほとんど偶然、しかも短時間立ち寄っただけの場所・アマルフィが映画のタイトルに!」というような「観光ムービー」ではなく、ロシアのクレムリンやドバイでは「その土地らしさ」も生かしています。
インドのムンバイに関しては……うーん、あのステレオタイプな金持ちの描き方は、怒らないのかインドの人たち……という感じではありますけど。


とにかく、「年の初めに、肩がこらなくて面白い映画を観たい人」には、かなりオススメできると思います。
「感動の涙」や「リアリティ」とかを求められると困りますが、間違いなく、「上質のアクションエンターテインメント映画」ですし、「本家」にここまでやられちゃうと、似たようなアクション映画はこれからつらいのではないかなあ。


ぜひ、映画館で、みんなで観ていただきたい映画です。

ところで、この映画、最後のあれを止める場面、僕はネットで調べるまで何が起こったのか理解不能で、「『復活の日オチ』なのか?」と思いましたよ本当に。

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